在宅での経管栄養の指導について ~胃瘻とNGチューブ・EDチューブの場合~

 

在宅で経管栄養をする場合、多くは胃瘻を選択されます。

しかし、胃瘻はすべての方に留置できるわけではなく、胃瘻が留置できない場合はNGチューブ、EDチューブを挿入する場合もあります。

経管栄養の指導はたいてい入院中に何回かにわたり行いますが、介護者の理解力に合わせて指導をします。

指導内容については各病院で統一されているでしょうが、確認は必要です。

今回は在宅での経管栄養の指導について、ケースごとに改めておさらいしましょう!

※経管栄養について詳しく知りたい方はこちらへ!→経管栄養とは~看護師なら完璧に知っておきたい看護知識~

 

在宅、経管栄養

画像出典:rd.com

 

在宅での経管栄養の指導①胃瘻のケース

 

在宅での胃瘻手順(液体の経管栄養剤の場合)

 

①必要な物品を揃えます

必要物品については、イリゲーター(栄養剤を入れる容器)、経管栄養剤、注射器、お湯、水、内服薬が処方されている場合は内服薬も。

 

②手を洗います

食事前に手を洗うように洗います。

使い捨ての手袋を使用されている方もいらっしゃいますが、手をきれいに洗うだけで十分です。

 

③経管栄養剤を人肌程度に温めます

お湯につけたりします。

夏場は温めなくて良いなど、経管栄養剤の製剤によって異なりますので、医師の指示に従ってください。

 

④姿勢を整えます

ベッドのギャッジを使って、座位(ベッドのギャッジを90°)にします。

座位にできない場合もできるだけ、座位に近い状態にします。

寝たままの状態で注入すると栄養剤が逆流してしまい、気管に流れこんでしまい、肺炎を起こしたり、大量に逆流した場合は窒息することもあるからです。

 

⑤注入する前に本人に注入することを伝え、衣服からチューブを取り出します

この時、胃瘻のチューブを少しひいて、抜けがないことを確認します。

胃の中に空気が入っていると、げっぷで逆流する可能性があるからといって、脱気を指導する医師をおられます。

その際は空の注射器をチューブの先端につけて注射器を引きましょう。

ゆっくりひいて何も引けなければ空気はないということです。

何も引けないからといってむりやり引くと胃壁を引っぱって傷つけることがあるので注意が必要です。

 

⑥注入

胃瘻のチューブとイリゲーターを接続します。

しっかりと接続してください。

ゆるいと注入中に外れてしまい、衣服や寝具を汚染してしまうことがあります。

速度は異なりますので、医師の指示に従ってください。

 

⑦注入後

内服薬のある場合はお湯で内服薬を溶かし、注射器で注入します。

胃瘻のチューブには薬を注入できるようになっているので、そこから注入します。

その後、指示された白湯を入れ、再度注入。

胃瘻のチューブに経管栄養剤のたんぱく質等が付着してしまうので、チューブを長く持たせるため、酢水を注入して15分~20分放置するという方法を指導している医師もいます。

注入後は約30分間、座位で過ごしてもらいます。

イリゲーターはきれいに洗浄し、自然乾燥させておきましょう。

イリゲーターは時々ハイターなどで漂白されるときれいに使えます。

これも病院の指導によって異なりますので、指示に従ってください。

 

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在宅での胃瘻:半流動体の経管栄養剤の場合

 

これは液体の経管栄養剤を使用した場合のもので、現在では半流動体の経管栄養剤を使用している場合が多いです。

半流動体が始まった頃は液体の経管栄養剤に寒天を入れて半流動体にしたのですが、現在では半流動体になった経管栄養剤の製品があります。

その場合、胃瘻のチューブに経管栄養剤をそのままつけて、押し出すようにして注入します。

半流動体だと逆流しにくく、また、注入時間も少なくなるメリットがあります。

 

在宅での胃瘻の注意点

 

胃瘻の注意点として、胃瘻を挿入している部位のスキントラブルが起こる場合があります。

肉芽ができて出血する、胃瘻の周囲が感染して、発赤や膿が出ることもあります。

これを防ぐためには挿入部位は清潔にしておくことが必要です。

なお、胃瘻のメリットとしては、経口摂取が可能なこと。

必要な栄養分は摂取できなくても、嚥下が可能な場合はご本人の好きな物だけを少量でも摂取することができます。

 

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