「寄り添う」に向き合うファミリー・ホスピス管理者【鴨宮ハウス・戸松さんインタビュー】


 

在宅ホスピスの現場でご活躍されている戸松絵美さんにインタビューをさせていただきました!

 

  • ・在宅で働く看護師(管理者)がどのような思いを持って仕事に臨んでいるのか
  • ・利用者さんに対してどのようなサービスが提供できるのか
  • ・管理者として、スタッフをどのように指導・監督しているのか

 

事前に上記のような疑問を持って臨んだ本インタビューでしたが、「期待通りの答え」はお聞きすることは出来ませんでした

なぜなら、「インタビュー」となれば、「答え」を用意していると勘ぐっていたからです。。。

 

以下、戸松さんの赤裸々なご回答は、きっと皆さまにとっても非常に大きな刺激となるはず!

特に、「今の自分は100%を出し切れていないかも・・・」と感じている方に、是非ご覧いただければと思います。

 

鴨宮ハウス、戸松絵美

 

ファミリー・ホスピス鴨宮ハウスで働くということ

 

まず、戸松さんがお勤めのファミリー・ホスピス鴨宮ハウスについて伺いました。

これを前提とし、戸松さんご自身のご経験や、管理者としての工夫などについてお伺いしていきます。

 

――まずはじめに、鴨宮ハウスについて教えてください。

 

「病院」にも「お家」にも近いのが、鴨宮ハウスの特徴だと認識しています

両者の中間に属しているということが、勤務をしていく中でわかってきたのが現状です。

というのも、いろんな医療処置が受けられる、看護師が24時間いるので柔軟に対応できるなど、その人の生活を支えるうえで必要な医療処置やケアが可能だからです。

 

「病院」に近いため、施設ではできないことができる

「ご自宅」に近いため、柔軟に様々な対応できる

これが鴨宮ハウスの魅力だと考えています。

 

――社のビジョンとして、「2025年に1万人の看取り」を掲げられていますが、看取りについてはいかがでしょうか?

 

現状、鴨宮ハウスのお看取りの数は、30名超です。

この数は通常と比べると少ないかとは思いますが、裏を返せばその人ごとの人生や生活の背景という物語にしっかり向き合っている結果とも思っています。

お一人おひとりにお看取りするたびに、「最後をここで過ごしてくださる」ということの重大さを受け止められているというのが偽らざる本音です。

 

――先ほど少し触れられていましたが、鴨宮ハウス(で働くこと)の魅力には、業務をこなしているうちに気づいていった、ということでしょうか?

 

そうですね。

ここで働く前に、教科書や関連資料で「ホスピスケアってこういうことです」というようなものは何度も見ていたのですが、すごく堅苦しく感じて、「うん…」という感じにしか思っていませんでした。

しかし、実際に勤めはじめて、事例を何例か挙げて振り返りをしてみると、ホスピスケアについての一般的な言説・考え方を、自然に出来ているんじゃないかと感じるようになりました

 

――理想的に語られていることが実現できている、と。

 

一般的に看護学校でも「患者さんの思いに寄り添って」とか、「手を差し伸べてあげる」とか言いますが、それはまぁ理想論とか教科書上の空想と捉えられますよね。(笑)

実際に多くの現場はそれとは程遠かったりするのですが、ここは本当にそれに近いことが実現している現場だということを再確認しています

 

――教科書に書かれているような「寄り添う」が出来ている、近いような気がするという点について、もう少しお伺いできますか?

 

面談などで看護師さんがよく口にする言葉に、「寄り添う看護がしたい」というものがあります。

一般的には、「寄り添う」というと、近くに行って「そうですよね、つらいですよね」という情景を思い浮かべるかと思います。

 

でも、私からすると「近くにいて分かったふりをすること」は、全然「寄り添う」ことにはなりません

本来はその人を全体的に、、、家族のこと、身体的なこと、精神的なこと、時間的・空間的なものを理解した上で問題解決や安心へとつなげるのが「寄り添う」ということではないでしょうか。

 

そう考えると、「寄り添う」という言葉はすごく簡単に使われがちですが、「結構重いよ」と私は思っています。

つまり、「その人の何が辛いんだろう」というのを「この場」だけではなく、背景だったりとか現在だったり、今後だったりを予測したうえで「全体の空間」として捉えることが重要だと思います

 

「本質的に、この人は何が辛いと思っているんだろう」「何をしてあげたらいいんだろう」「じゃあこうしてみたらどうなんだろう」「やっぱり駄目だからこうしてあげようかな」と、その人のことを真剣に考えて行動することが「寄り添う」につながる

 

鴨宮ハウスで実際に働くことで、こう思えるようになりました。

 

――なるほどですね。相応の時間をかけないと「寄り添う」とは言えないのではないか、と。

 

そうですね。

私自身、看護学校の時には「その場の寄り添い」をイメージしていました。

でも、訪問看護やホスピスでまるっとこの人を見るときに、「いろんな面から近寄る」と言うんでしょうか、、、そういった意味での「寄り添う」を学んだように思っています。

 

――たしかに、自分の周りで悩んでいる人がいたとしても、「なぜ悩んでいるのか」「悩みをどう解決するのか」などについて考えると、かなりエネルギーが必要です。

 

肉体的な痛みだけではなく、霊的な、社会的な、精神的な、そうした「トータルペイン」のことを「全人的な痛み」として見ていこうということが言われるようになっていますが、まさにその通りだと思います。

 

それが文章で書かれていると、どこかクエスチョンマークがつきます。

でも、実際に生活全体を毎日毎日繰り返しみていったとき、「寄り添うってこういうことなのかな」という感覚は芽生えるような気がしています。

 

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