「それでも現場で看護がしたい。」アメリカでのホスピス体験 (ベテラン編)

 

≪著者プロフィール≫ ラプレツィオーサ伸子

日本の大学病院で看護師として勤務後渡米、現在アメリカ人の夫、3人の子供と犬の世話に奮闘しながら、在宅ホスピスナースをしています。

少しでも日本のホームケアの発展に貢献したく、ここアメリカ東海岸から、在宅ホスピスの生の情報をお届けしたいと思います。

 

ホスピスナース5、ラプレツィオーサ伸子

 

あっという間の10年

 

ホスピスナースになって最初の10年は、まさにあっという間でした。

その間に3人の子供を出産し、仕事も子育ても大変ながらも面白く、無我夢中で毎日が過ぎていきました。

 

ホスピスナースとしての知識、訪問看護師としての技術は、専門誌を読んだり外部のセミナーや職場で行なわれるインサービス(勉強会など)に参加する事で、常にアップデートするよう心掛けていました。

しかし一方で、10年目を過ぎた頃から、いわゆる「安定期」とでも言いますか、成長の伸び率がスローダウンしているなという自覚もありました。

ちょうど子育ても新たな局面に向かってきた所で、そちらの方にエネルギーを奪われていた時期でもあったのです。

 

プラスα

 

毎年、直属の上司による年間評価があり、その度に自分の年度目標を挙げるのですが、その頃から“プラスα”を求められるようになっていきました。

 

それは、私個人のホスピスナースとしてのプラスαであると同時に、それをチームに還元していくことを期待されているという意味でした。

新しいメンバーのプリセプターになったり、学生やレジデント、フェローなどの実習のシャドーイングの受け入れはもとより、何かオルタナティブな試みにも挑戦してみないか?という上司からの示唆だったのです。

 

私はそれを、中だるみに陥りそうだった自分を鼓舞する良い機会だと受け取りました。

本院のパリアティブケアチーム(緩和ケアチーム)のナースが、ちょうどアロマセラピー導入のプロジェクトを始めた事もあり、「だったら在宅ホスピスでも試してみよう」と、とりあえず勉強会から始めてみることになりました。

 

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看護師をしている人なら誰でも「大変なお仕事ですね」と言われた事があるのでは?そんな時どんな風に答えますか? 実はわたしは、ホスピスナースである事をあえて言わない時期がありました。というのも、私が「ホスピスナースだ」と言った後の、相手のリアクションにどう対応したらよいか分からなかったからです。