【地域包括ケアシステムに係る診療報酬改定2016】有床診療所における在宅復帰機能強化加算の新設(用語説明付)

 

平成28年度(2016年)の診療報酬改定では、
在宅領域(在宅医療・訪問看護・(ホスピス)緩和ケア・看取り)に関わる制度改定が多数行われました。

これは、在宅領域が医療・看護・介護業界に関わる”すべて”の方々に大きな影響があることを意味します。

しかし、webサイトでは、政府資料のペーストがされているのみで、情報が整理されているとは言い難いのが実情。
そこで、ビーナースが他サイトに先駆け、「在宅」にかかわる診療報酬改定項目を順次見やすい形に整理していきます。

今回は、中でも「地域包括ケアシステム」に関わる改定項目(「有床診療所における在宅復帰機能強化加算の新設」)を、用語解説を含めてご説明します!

 ※公式資料はこちら(本記事に関連するのはp15-17)

 

有床診療所 診療報酬改定 地域包括ケアシステム

画像出典:upload.wikimedia.org

 

「有床診療所」について

 

まずは、「有床診療所における在宅復帰機能強化加算」の基本事項についてご説明します。

※以下、「全国有床診療所連絡協議会HP」を多分に参考・引用しております

 

「有床診療所」とは

 

まず、有床診療所という言葉のご説明からです。

「全国有床診療所連絡協議会」によれば、次のように定義されています。

 

有床診療所とは19以下のベッドを備え、外来及び必要があれば入院して治療を行うことができる小規模な医療施設です。

 

なお、「施設名には『○○医院』や『○○クリニック』などという名称が使われて」いるそう。

また、「〇〇病院」と「〇〇診療所」の違いは、医療法(医療法1条の5第1項・医療法1条の5第2項)により規定されています。

一部繰り返しにはなりますが、「診療所とは入院施設がないもしくはベット数が19床以下の医療機関をいい、病院とはベット数が20床以上の医療機関のこと」になります。

 

 

では、そんな「有床診療所」ではどのような医療が提供されているのでしょうか。

 

「有床診療所」の役割

 

有床診療所は、例えば、肺炎・骨折などの急性疾患だけでなく、高血圧・糖尿病などの慢性疾患の急な変化、高齢者の療養や介護の受け入れから正常・異常分娩、あるいは小手術から比較的高度な手術までを行い、「地域に密着し、住民のニーズに応じた適正な医療を柔軟に提供してきたこと」で、長い間わが国の中核的医療単位として機能してきました。

現在、わが国の総分娩数の約半数を有床診療所が担っているそう

また、地域包括ケアシステムが目指す姿とも軌を一にするものですね(→ビーナース参考記事)。

 

有床診療所は大病院と異なり、患者さんがご自身の生活圏の中で医療を受けられる場所で、通常は患者さんと同じ地域に生活する一人の開業医が、患者さんの身体的既往にとどまらず、社会的、家族的、個人的背景をも理解した上で包括的医療を実践しています。

したがって、「多様化する患者さんのニーズに対応していくには、大病院の組織医療よりは、有床診療所の立場のほうが、より適切な肌目のこまかい全人的医療の提供が可能」とする見解があります。

 

「有床診療所」の現状

 

近年、有床診療所の無床化が年ごとに著しくなっており、毎年約1,000の有床診療所が病床を閉鎖している状況で、平成13年に1万7,460施設あった有床診療所が、平成18年には1万2,898施設にまで減少しました。

その原因として、患者さんの大病院志向や、病院と診療所との医療機能の格差等が取り沙汰されていますが、有床診療所の存在が多くの人々に知られていない事と、有床診療所入院料の診療報酬が、政府によってあまりにも低く定められている為に、その経営が困難である事などがあげられています。

 

「有床診療所」に関する2016年度診療報酬改定の懸念点

 

2016年度診療報酬改定では、「在宅復帰」がメインテーマの一つですから、「在宅復帰を推進する有床診療所」への優遇措置が取られました。

しかし、国がその受け皿となる施設を未整備のまま入院から在宅へと誘導政策を進めている側面があることは否めません

つまり、介護者不在、あるいは老老介護、住宅事情、家族関係で自宅での養生が不可能な人たちが現実に多数おられるため、多くの方がいわゆる医療・介護難民となる懸念があります。

そこで、「診療所病床には、急性期から慢性期、終末期に至る医療・介護が行える機能的な病床として、その柔軟な特性を維持させるべきだ」とする見解もあるようです。

 

「有床診療所における在宅復帰機能強化加算の新設 」の概要

 

それでは、「有床診療所における在宅復帰機能強化加算の新設 」の改定項目の内容に触れていきましょう。

 

本改定の趣旨

 

地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携

 

本改定の基本的な考え方

 

高い在宅復帰機能を有する有床診療所に対する評価を充実させる。

 

改定項目概要

 

1.有床診療所入院基本料に在宅復帰機能強化加算を設ける。

 

2.有床診療所療養病床入院基本料に在宅復帰機能強化加算を設ける。

 

「有床診療所における在宅復帰機能強化加算の新設 」の具体的内容

 

本改定の具体的内容は、下図の通りです。

 

有床診療所における在宅復帰機能強化加算の新設

画像出典:hodanren.doc-net.or.jp

 

「在宅復帰率の要件見直し」〜まとめ〜

 

以上が、「地域包括ケアシステム」に関わる診療報酬改定項目(「有床診療所における在宅復帰機能強化加算の新設 」)の整理になります。

まだまだ改定から間もないため、独自の解釈は控えております。

今後、業務等で改定にかかわる疑問が出てきたときには、ビーナースでざっと把握していただければ幸いです。

 

 

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