【梅田恵先生インタビュー第1回】「ナースはすごい!」

 

梅田恵先生の執筆活動について

 

――なるほど。その他のご活動としては、梅田先生には著書がたくさんありますが、そちらについてはいかがでしょうか?

 

どういう実践をしたらいいとか、この実践をするためにどういう知識を必要とするのかといった部分を書いています

自分の(書いた本の)中では、「赤本」って呼ばれるくらいよく読まれている本があって、緩和ケアの中では1999年から多くの方が読んでくださっています(※)。

それは、時代がそうさせたというか、(当時はそういった本が)なかったんです。

ただ、私一人が書いたわけではなくて、大学院の同級生たちと書きました。

医師が鎮痛薬を処方すればいいといった考えが主流だったのですが、処方された薬を患者さんがどう使いこなせるか、看護師はどう支えていけるのか(という観点から)、痛みだけではなく、痛みに影響していることをトータルに考察(アセスメント)する方略を書いたんです。

鎮痛薬の種類を知っているナースは、患者さんの生活の環境に合わせて薬が選べるとか、患者さんは麻薬と聞くと躊躇するので、躊躇する要因をナースが詳しく聞いたりだとか、躊躇していて使わないのも構わないんだけど使えば家に帰れることがある等です。このように一歩踏み込んだ支援ができるために必要な知識が整理されているものです。

でもその当時、そんな感じのことをやっていた人はいっぱいいるんだろうけど、それを著(あらわ)したり整理したり、「標準化」といって誰でも出来る形に落とすというのが私は「アカデミア」だと思っているので、それをやってこれたかなと(思っています)。

 

(※)梅田先生のご著書は『がん患者のペインマネジメント』という、業界の中でかなり有名な本です。
臨床現場のナースに「疼痛管理の教科書」として受け継がれてきた“赤本”ですので、是非ご覧くださいませ。

<著書紹介文>
がんの痛みを抱える患者さんにとって、ペインマネジメントはQOLの面からも欠かせません。特に24時間患者さんの側にいる看護師は、適切な知識と技術を身につけていることが望まれます。

長年疼痛管理に携わってきたスペシャリストナースが、ナースのために、疼痛コントロールとペインマネジメントの基本についてわかりやすく解説した本書は、1999年の初版以来、臨床現場で受け継がれてきました。約6年半ぶりに改訂の最新版です!

 

画像出典:google.co.jp

 

――その他、執筆活動に関しては何かありますか?

 

最近やった大きな仕事でいうと多分、医学書院で出ている『専門看護師の思考と実践』という本です。

大学院を出た看護師たちは何を考えて実践しているのかという「思考の整理」をした本になります

あと私は、ナースたちが持っている事例について客観化するとか、そこにある内容・意味を表現するとか、意味付ける仕事が多いように思いまうす。自分でちゃんと、いわゆる「著作業」をしてないです。

 

――編集が多いということですか?

 

そうですね。

他のナースが書き下ろしてくれた事例を一緒に考えなおしたり、表現方法を考えたり、自分で書くよりも倍ぐらい時間を使っている気がします(笑)。

だけど、やっぱり専門看護師とかナースの持ってる力を発掘するのが私の「使命」、、、というか私が一番「頑張りたい」と思うことなんですね。

その分多くの事例を私も体験させてもらっているような気持になります。

ただ、みんなが喜んでるかどうか・・・。「梅田さんから仕事もらったらいっぱい直しが入る」と言われてます(笑)。

みんな良いことを絶対行動に移しているのですが、「書く」となったら自分でも訳がわかんなくなっちゃうんですよ。

 

――看護師を経て著作を書いてる方は稀なのですか?

 

どうだろう・・・。みなさんよく書かれてますよ。

だけど、事例って「著作」じゃないですよね。

それは「経験」を書くということで、本当に「著作」というと、もっとこう自分の考えを述べているんですけど、わたしは自分の考えがあるようで無いので。。。

「ナースはすごい!」って思うのだけが自分の考えで、あとはみんなの手を借りて表現することをやってるっていうのが現状かもしれません。

 

インタビュワーのコメント

 

梅田先生へのインタビュー第1回は、以上になります。

第1回では、主に”現在”のお仕事についてお話し頂きました。

冒頭でも少し触れましたが、「看護師の仕事とは」ということを真剣に考えている印象を強く受けました。

 

ではなぜ、そのように真剣に考えるに至ったのでしょうか?

次回の第2回では、より広く、梅田先生の人生体験に焦点を当てたインタビュー内容をご紹介いたします。

 

 

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