看護師の仕事は妥協が許されないため、後輩看護師や新人看護師に厳しく指導・注意しなければならないこともしばしば。
ただ、当然ながら指導や注意をされる側は、良い気持ちではないのは確か。
逆に叱る側も、少しでも嫌だと思われないように注意したいと思うのは人間として当たり前の想いではないでしょうか?
ここでは、そんな後輩・新人、いわゆる「部下」への嫌だと思われないような注意するフレーズ(指導法)を3パターンに分けて、5つご紹介します。
本記事を参考に部下に接すれば、きっとよりよい人間関係を築くことが出来るとともに、
注意がこれまでよりもずっと響きやすくなることかと思いますよ!
看護師の指導フレーズその1:注意した理由・根拠を明確に
「本人」を注意するのではなく、「環境の変化」に着目して注意・指導するようにするということも、注意のときの鉄則です。
全部が全部ではありませんが、「その人」自体が悪いというよりも、その人がこれまでの環境で培ってきた常識が現在の環境に合致していない場合、説得的に根拠を示しながら注意することが重
要です。
では、以下2つの具体的なフレーズをご紹介します。
・「○○さんにこれだけ私が言うのは、それだけ患者さんに不安を感じさせるからだよ。」
ただ闇雲に当たり散らすのは、注意するうえでは絶対やってはいけないこと。
なぜ自分は注意しているのか、なぜ私は注意されているのか、ということを明確にするためにも、しっかりと理由を話しましょう。
特に、患者さんに不安を感じさせているというのは、新人看護師にとっても良くないことだとすぐに認識できること。
次から同じような思いを患者さんにさせないためにも、大切なことです。
・「○○をやらないと、こんなリスクがあるんだよ。」
看護師が行うケアには、必ず根底には安全性のある根拠が裏付けとしてあります。
ただ業務手順を説明し、注意して見直すだけで終わるのではなく、きちんと根拠を説明しながら注意するしましょう。
そうすることで、注意される側も納得した気持ちになり、そして嫌な気持ちにはなりにくいものです。
看護師の指導フレーズその2:注意したあとに、自分の体験談や自分の新人・若手時代の経験を話す
注意で終わるだけではなく、自分の経験を交えて改善を促すのが効果的な場合があります。
ただし、自分の体験談を自慢話にすり替えたり、関連性が薄いのに無理やり自分の体験談と被せてしてしまうと、
逆に相手の印象を大幅に悪くしてしまうことがあるので、その点には気を付けましょう!
人は、自分がある仕事を出来るようになった途端に、「出来なかった頃の自分」を忘れ去ってしまいがちです。
その点を意識しつつ、以下二つの具体的なフレーズを見ていきましょう!
・「○○さんに注意したけど、私も新人時代は、同じことで注意されたんだよね。」
新人看護師や若手看護師にとって、注意や指導をしてくれる看護師は、目標であり尊敬する立場。
いわゆる「成長モデル」です。
そんな先輩が同じように注意されて、こんなに成長されたとわかれば、注意されてもモチベーションは下がらないはず。
親近感や共感的な気持ちも生まれ、嫌な気持ちにはなりにくいはずです。
・「まーでも、最初からうまくいく人なんていないよね、私も全然できなかったし。」
新人看護師・若手看護師は特にまだ自信がない時期。
うまくいかないことだらけで、気持ちもネガティブになりがちです。
そんなときは、みんなうまくいかない時なんだということを伝えた方が良いでしょう。
特に注意された時には、気持ちが落ちてしまいがちなので、フォローが必要。
自分ができなかったことも伝えると、先輩でもできなかったんだと、少し気持ちが楽になるはずです。
嫌な思いをしたとしても、後味としては残りにくいでしょう。
看護師の指導フレーズその3:注意一辺倒にせず、良いところは褒める
これも、注意するときの王道です。
あまりに連続して叱られ続けると、「自分の存在を否定された」と卑屈に思ったり、
「自分はいなくていい」といったネガティブな心持ちになったりと、部下としてはなかなかにつらいもの。
ですので、「しっかりあなたのことは見てる」ということを伝えるためにも、いいところを褒めるということは忘れないようにしましょう。
・「○○さん、それは良くないでしょ。でも、さっきのあの対応はよかったと思うよ。」
悪い対応や処置は必ずあります。
しかし、先述したように、そこをひたすら注意ばかりしていては看護師は嫌な気持ちになりやすく、自己肯定感が失われてしまいます。
注意したあとに、良い部分が他のことでもあれば必ず褒めること。
褒めることで自信もつく上、注意された時に一時的に湧き上がる嫌な気持ちも軽くなります。
まとめ ~自分が部下だった頃を思い出そう~
新人看護師や若手看護師は、何より「自信」を求めています。
注意や指導は、誤った言い方・態度になると、一気にネガティブエピソードとなり、自信が持てない不安だらけの看護師を生み出してしまいます。
過信させてはいけませんが、必ずフォローの言葉かけをすることが、部下が嫌な気持ちにならずにポジティブに取り組めるきっかけとなるはずです。
常に思いやりの心を忘れず、そして何より自分も通ってきた「新人」という道を、部下にはなるべく心地よく進ませてあげましょう!
☆Be Nurse(ビーナース)は、部下を思いやる素敵な看護師さんを全力で応援します!
★ここまでで分からない用語はありませんでしたか? そんな方は・・・
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