褥瘡(じょくそう)予防と体位変換には密接な関係があることはご存知のことかと思います。
しかし、改めて褥瘡の原因や、褥瘡になりやすい人、はたまた褥瘡予防のポイントを挙げよと言われると言葉に詰まってしまう方も少なくないのではないでしょうか?
そこで本記事にて、それらの基礎知識を簡潔に整理してみました。
日常のケアに関わる部分ですので、知っていれば、患者さんや被介助者さんのQOL向上にダイレクトにアプローチすることが出来ますよ!
画像出典:fthmb.tqn.com
褥瘡(じょくそう)とは?
まず、「褥瘡」とは何か、その原因は何か、褥瘡になりやすいのはどういった人かという点について述べます。
これにより、「体位変換」が褥瘡において非常に重要であることを理解したいと思います。
※以下日本褥瘡学会のHPを多分に参考・引用しています
褥瘡の定義
褥瘡とは、「寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうこと」です。
一般的に「床ずれ」ともいわれています。
たとえば、軽度だと次の写真のような症状がみられます。
画像出典:4.bp.blogspot.com
褥瘡の原因
自分で「体位変換」(※)できない方は、体重で長い時間圧迫された皮膚の細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなります。
これにより「褥瘡」ができます。
また重度の方だと、皮膚の表面だけでなく皮膚の中にある骨に近い組織が傷ついている場合もあります。
(※)私たちは普段、「無意識のうちに眠っている間は寝返りをうったり、長時間椅子に座っているときはお尻を浮かせるなどして、同じ部位に長い時間の圧迫が加わらないように」していますが、このような動作を「体位変換」といいます。
褥瘡になりやすい人
“自分で体位変換ができず”長期間寝たきりで、栄養状態が悪い、皮膚が弱くなっている人”(※)です。
そういった方が、「圧迫だけでなく摩擦やずれなどの刺激が繰り返されている場合」に、褥瘡になりやすいです。
(※)高齢者、排泄物や汗により皮膚のふやけがある、むくみが強い、抗がん剤やステロイドなど薬の副作用で免疫力が低くなっているなどのこと
褥瘡を予防するための体位変換を行うために知っておくべき基礎知識
褥瘡になりやすい体の部位
骨が突き出した部位は強く圧迫されて、褥瘡ができやすくなります。
褥瘡のできやすい部位は、寝ているからだの向きや姿勢によって違ってきます。
被介助者の体型や寝るときのクセなどに左右されるため、介助者は注意深く観察する必要があります。
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褥瘡の前触れの確認方法
指押し法
褥瘡のできやすい部位の皮膚が赤くなっている場合、それが褥瘡であるのかを確かめる方法の一つが「指押し法」です。
人差し指で赤くなっている部分を軽く3秒ほど圧迫し、白っぽく変化するかどうかを確認するもの。
押したときに白く変化し、離すと再び赤くなるものは褥瘡ではありません。
押しても赤みが消えずそのままの状態であれば、初期の褥瘡と考えます。
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