意思決定支援の陥穽 ~支援する側の感情や意見を押し付けてしまってない?~
では、意思決定支援における注意点とはどういったものでしょうか?
ややもすると、「しっかり説明して同意していさえすればいいんでしょ?」という意味にも捉えられかねない意思決定支援で陥りやすい誤りを、具体的なイメージを持って認識するため、下記の例でお示しします。
治療方法の意思決定のケースに見る意思決定支援の陥穽
「治療方法」の意思決定の場合に、A・Bと二つの方法があるとします。
患者様はBを選択したと仮定しましょう。
支援する側(医療従事者)の視点で、明らかにAを選択したほうが有効と判断した場合、「本当にBでいいのですか?」「どっちかというとAがいいような気がします」と、Bを選んだ患者様にAを推す様な方向性になってしまいがちです。
Bを選択することが、倫理的・人道的にふさわしくないケース以外は、Bを選択した本人の意思を尊重することが重要です。
しかし、ここで非常に重要なのは、選択のプロセスでBのメリット、デメリットが十分情報提供され、患者様が理解しているか確認し、なぜBを選択したかの理由を知ることです。
ただ、この行為には定量的な指標がないため、言ってしまえば主観で決まってしまうこともあります。
したがって、「患者様が本当に“正しい情報”と“自分の意思で”以て判断を行うことが出来ているか見極めること」が意思決定支援において最も難しいポイントと言えるでしょう。
意思決定支援で注意すべきポイント
支援する側は、意思決定者に代わって意思決定を行うことは本来の趣旨から逸脱していることを忘れてはなりません。
支援する側の感情や意見を押し付けることは厳禁なのです。
なお、意思決定支援は、患者様の病状や家族構成など、変数が多岐に渡るためなかなか類型化しづらいものの1つ。
しかし、それらを個人の裁量・技量に任せきりでは今後進歩することはありません。
たとえば、意思決定支援のケースをいくつかにカテゴライズし、チェックリストを作成するといった取り組みは、意思決定支援をより豊かなものにする一つの方法として考えられます。
そうした精緻化の取り組みは今後非常に重要になるかと思われます。
意思決定支援とは? まとめ
意思決定支援は、「意思決定の質を向上させること」が目的です。
「支援する側が、良いと思われる選択をさせること」ではありません。
認知力の低下、発言できない病状、精神疾患、幼少など支援が必要となる理由は様々ですが、その人らしく納得した選択ができるよう支援したいものです。
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