自宅での看取りは、患者さんのサポートはもちろんのこと、家族へのサポートが重要になってきます。
家族は患者さんの意向に添い、自宅での最期を選択されたとしても、患者さんがどのような経過で最期を迎えるのかという具体的な状況を理解できておらず、ドラマのワンシーンのような最期を連想されます。
患者さんが自宅での最期を希望されていて、家族が最後の最後に見ていることができず、救急車を呼んでしまうということも少なからずあります。
患者さんと家族が安心して最期を迎えられるためには、訪問看護師のサポートはとても重要です。
今回は訪問看護師が看取りで注意していることを3つ、お伝えしたいと思います。
※看取りって何?と思った方はこちらへ
→看取りとは ~「3人に1人が65歳以上」という事実に対する活路~
画像出典:casperinhomecare.com
【訪問看護師が看取りで注意していること①】こまめに家族とコミュニケーションをとる!
家族の方は具体的な看取りのイメージがつかない場合が多い
患者さんの現在の状態について、家族に丁寧に説明することが大切です。
在宅で最期を看取ると決まった時点で、あらかじめどのようなことが起こっていくかについて説明をするのですが、いくら理解力のある家族であっても、具体的には理解できていないことが多いのです。
暗闇(=具体的にイメージできないこと)は不安感を高めてしまいます。
訪問看護師の説明という灯りが必要なのです。
訪問看護師は常に状況を把握しておく
患者さんの呼吸が苦しそうだったり、強い痛みで苦しんだりと患者さんがつらそうにしている状況を看ることは家族にとってはつらいことです。
しかし、在宅で看取るということは、そのことを理解していただき、乗り越えていただく必要があります。
そのためにも、こまめに患者さんの状態を説明し、家族の不安を聞き、不安が軽減するようにアドバイスや体制を整える必要があります。
画像出典:genitoripiu.it
【訪問看護師が看取りで注意していること②】いつでも対応ができるような体制を整えておく!
「何時でも連絡してください」と毎回伝える
大切なのは気軽に電話ができる信頼関係を作っておくこと!
通常、訪問看護は24時間365日連絡がつく体制になっています。
「何かあればいつでも連絡してください」と説明もしますが、家族としては「これくらいのことで電話していいのか悩む」と言われる方が多くいらっしゃいます。
特に深夜や早朝など就寝している頃の時間帯には、明らかな変化がない限り電話がしにくいようです。
ですから私の場合は帰る際、毎回「何か心配なことがあれば、何時でも連絡してくださいね。」と伝えて退室するようにしていました。
画像出典:moorestownvna.org
何事もなくても訪問するだけで家族の方は安心する
そして、電話があれば電話だけの対応ではなく、家族が訪問してほしいようであれば、時間に関係なく訪問するようにしていました。
訪問してみると、昼間と変わらない状態のことも多く見られましたが、家族は看護師さんに訪問してもらえるだけで満足されておられました。
※訪問看護師の役割についてもっと知りたい方はこちらへ!
→在宅の看取りにおける訪問看護師の役割。その3つの柱とは?
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