K-WORKER福祉用具貸与事業所の山上智史所長インタビュー第2回になります。
前回の第1回は、山上さんの現在の業務内容を軸にお話を展開しました。
特に、「自分たちが車いすを使って業務をこなす」というユニークな取り組みをどういった想いで行っているのか、という点が印象深かったことと思います。
そこで今回は、山上さんの出自についてお話を伺い、そのような取り組みを始めるに至った「仕事への姿勢はどういったものか」という点に迫りたいと思います。
山上さんは、はじめは販売業からスタート! どうして「福祉」業界に?
——「福祉業界に入りたい」と思うきっかけはどのようなことでしょうか?
もともと私は販売業が好きで、最初はホームセンターで働いていました。
そこでは、日用品担当であると同時に、福祉用具の担当でもありました。
販売自体は好きでしたので「ずっとそこでやっていたい」という気持ちがあり、上にどんどん行きたいなという思いもありました。
しかし、そこで改めて気づいたのが、本社が群馬だということでした。
そうして、「この仕事好きだけど上を目指すなら引っ越さないといけない」と悩んでいた時に、私の奥さんが今の会社の会長と知り合いというご縁があり、会長から「うちは福祉用具を扱っていて、やってくれる人を探しているんだけど。。。」というお話をいただき、それをきっかけに福祉用具の業界に入ることを決めました。
——転職後、どのような仕事からスタートしましたか?
最初は、福祉用具を扱うにしても、まったく介護の仕事が分からなかったので、「現場をさせて下さい」とお願いして、ヘルパーから始めさせてもらいました。
ヘルパーを1年半くらいやった時には、もう福祉用具の人員もかなり逼迫していたので、福祉用具の部署を担当することになりました。
最初は1人で福祉用具部を受け持つことになったのですが、どんどん忙しくなって、人を増やして今に至ります。
——「現場でやりたい」とお願いされたのは、どうしてですか?
「自分が分かってからやりたい」という思いがあったからです。それは今でも変わらず思っているので
車いすに乗ったり靴を履いてみたりしています。
福祉用具は、介助される側はもちろん、介助する側のためのモノでもありますので、その立場を経験していたいと思ったからです。
——そうした態度といいいますか、「想い」というものは、販売員の時から持ってらっしゃいましたか?
そうかもしれないですね。
もちろん、明確に「福祉用具で!」ということではなかったですけれども、(自分が)「好きなものを売る」というのは一番大切なことだと従来思っています。
嫌いなものだったらしっかりと営業が出来ないと思いますし、「してこい!」と上の方から言われても同じだと思います。
まずは商品のことを好きになって、「だから僕は勧めるんです!」と言えるようにならないといけないと思います。
そのために、自分がまず知る・分かるということは大事にしていますね。
——それは、サービス業全般にも言えることだと思います。サービス業の場合だとどのように実践していくべきだとお考えでしょうか?
「自分がそれを好きになる」という点では全く同じだと思います。
たとえば看護師さんの場合でいっても、「これが私たちの大切にしてることなんだ」と思う部分がないと、できないと思うんですよね。
もちろん、こんな方はいないと思うのですが、「私がおばあちゃんになったら、こんな看護のサービス受けたくないな」と思ってる方は、良い接客は出来ないと思います。
私の場合も、「自分が高齢者になったときに、こんな事業所があったらいい」と思えるような事業所を目指して体制づくりをしています。
※事業所にて車いすに乗りながら会議をしている様子
「人生に無駄なことはない」と「時間は有限」の両立
——そもそものお話になってしまうのですが、「現場でやりたい」と思うようになった自分自身の体験談などはありますか?
んー、難しいですね。
ちょっと話がずれちゃうかもしれないですが、ずっと小学生から持っていた考え方として、「そもそも人生に無駄なことはない」と思っているっていうのはありますね。
そう考えると、人が嫌がることでも積極的にできるような気がしています。
それは、子供の頃からずっと持っている心理ですね。
極端な話ですけれども、例えば道端で知らない人にお腹を急に殴られたとしても、「経験としては無駄じゃなかった」とか、「ここに筋肉がついたからよかった」とか(笑)、そういうポジティブな考えをするようにしていますね。
だから現場でも経験をしたいと積極的に思えたように思います。
ただ、ハタチを超えて仕事を始めてからは、「時間は有限だ」ということも思うようになりました。
だから、選ばなきゃいけない。
何でも無駄ではないから飛び込んでいくのはいい。
でも一方で時間は有限だから、「これをまずやってみよう」「で、次に・・・」と優先順位を考えるようになりました。それが成長というのかどうかはわかりませんが。(笑)
——「時間が有限=選択することに繋がる」というお話でしたが、その際に重視していることは何かありますか?
「行動するタイミングは今」ということです。
長くなりすぎてもよくないとは思うのですが、考えることは大事だと思っています。
そして、考えた末に選択をしたらすぐに行動する。
私が前職を退職したのも、10年後20年後を考えて想像したときに、「いま転職しよう」という選択をしました。
結婚に関しても、「10年後を考えると、この人なんだろうな」という風に考えた結果、「じゃあ今しよう!」という選択と行動に至りましたね。
インタビュワーのコメント
今回は、山上さんの出自についてお話を伺うことで、「どのようにして考え方が作られたのか」「なぜイマの〇〇という行動をしているのか」という部分をより深く理解することが出来たかと思います。
それらのお話を通じて、山上さんが現在なされていることは、利用者さんにとって「“プラスの多い選択”をするためのお手伝い」だということが伝わりました。
最終回である次回。まさにこの部分がより深く理解できる内容となっています。
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