医療コンサルを行う『NINO』の代表であり、「最高情熱責任者」であるムラタカズキさんのインタビュー記事第2回です!
前回の第1回インタビューでは、村田さんの幼少期に遡り、医療に関心をもったきっかけ、ディズニースタッフから医療業界に進んだ理由などを伺いました。
→第1回記事はこちらへ:えっ、なんで? 元ディズニースタッフが医療コンサルタントになったワケ
本記事では、村田代表のコンサルティングに懸ける想い ・看護師個人に対する想いについて非常に胸がすくお話を伺えましたので、その模様をお送りします。
「仕事」ではなく、「人生」について考えさせられるお話です。
経営層と一般層の決定的な違い
――NINOは経営層と一般層の「橋渡し」をしているとの理解ですが、両者でよくある齟齬にはどういうものがあるのでしょうか?
両者はそもそもフィルターが違うので、同じ言葉で綴っているにも関わらず、情報が物凄く形を変えて脳に入っていってしまいます。
たとえば、「営業において、今月は新規10名ケアマネから依頼を受けて下さい」という目標が伝達されたとします。
経営者にとっても一般者にとっても当然同じ「10名」なのですが、10名集める「意義」が違うように解釈されてしまうのです。
つまり、一般層からすると、経営層の人は要は「金稼ぎが一番大事だと思っている人」と見えている場合が圧倒的に多いんです。
多くの経営層にとって「お金を稼ぐ意義」はみんなを守ることのはず。
しかし、「みんなのために」と思ってやっていることが、言葉が足りないがゆえに「金稼ぎの道具」であるかのうような捉え方をされてしまい、どんどんスタッフの心が離れていく。
こういうケースは多々見られます。
たとえばダイエットでも、「やせる」という目標は変わらないかもしれませんが、その背景や目的、重要性は人によって全部違いますよね。
目標を正確に話しても、「正しく伝わるかどうか」とはまた違った話になるのです。
――そうですね。「やせる」と一口に言っても、たとえば「結婚式で憧れのウエディングドレスを着るために痩せる」といった場合と「趣味で痩せる」では違います。
「10人新規営業とってこい」ということにもそれぞれにとっての「意義」があります。
しかし、多くの場合は本当に言葉が足りませんので、解釈が重要になってくる。
ということは、受け止め方にバラつきが出るということなのです。
こういう場合は、「属性」に分けて考えます。
そうするとよく分かるのが、一般スタッフの中でも「頑張ってる人:なんとなくいる人:頑張っていない人」が「2:6:2」ぐらいに分かれるということです。
この点、アメリカの大学の実験で面白いことが実証されています。
その実験では、白人さん、黒人さん、ラテン系、黄色人種で、全く同じIQを持っている人を集めて、大学時代を過ごしてもらうというものです。
すると、スタート時点では一緒だったはずが、全員が大学を卒業する時には「属性」ごとに結果にすごく差が生まれました。
白人が優秀となる一方、黒人さんの成績は下がっていくのだそうです。また、1番下がっていくのはラテン系の人たち。
結局、「影響力」って凄いんですね。
たとえば、頑張ってる黒人さんって、「オレオ」って呼ばれるらしいのです。
その意味分かりますか?
黒人は、社会的な一般常識として、白人に奴隷として扱われてきた歴史を学びます。
結果、反骨精神を持って勉強して優秀になるより、「どれだけ自由でいられるかが俺たちにとっては大事なんだ」という意識を持つ。
仮に勉強で頑張っていようものなら、「お前なに白人ぶってんだよ」「マジメぶってんだよ」「俺たちは自由に生きようぜ」という感情や意思が働く。
すると、「お前のハートは白人だ」となるわけです。
つまり、オレオのように「外は黒いけど中は白い」となる。
ちなみに、その実験で1番成績が下がるのがラテン系である理由はこういわれています。
「黒人は黒人で繋がれるから良いけど、お前らなんなの?」
「白人でもねえし黒人でもねえし、お前ら1番中途半端じゃん」
この結果、1番蔑まれてしまうのだそうです。
だから、同じIQ・EQを持っていたとしても、4年間経つと差がつく。
さて、これは会社の中でもある意味同じであると思っています。
つまり、ラテン系の6割の人たちをどっちに引っ張るかで色々変わっていくということで、まずはこの人たちを引っ張る方法を考えなければなりません。
一般的には「パレートの法則」と言われるかと思いますが、まず2を整え、次に6をどれだけそちらに引っ張っていけるかというのを意識し、経営者の言葉を伝えていく。
私はこれが重要なのではないかと思っています。
したがって、NINOでは年間サポートの前に、パッケージでコンサルティングをすることにしています。
つまり、まずは2割と経営層の意思疎通をする。次に6割、その次に2割の意思疎通を図っていく。
今後も、様々な要素に左右されてしまう「ラテン系」の人たちにとって1番良い社内環境ってなんだろうというのを、経営者の人達と一緒に見つけていきたいと思っています。
すみません、また話がずれてしまいました。(笑)
――いえいえ。多分ずれていなくて、基本的に人間関係における「永遠の課題」や「本質」から目を背けずに考えてらっしゃるのだろうと推察できます。
そう言っていただけると助かります。
しかし、ディズニーランドでそういう人は少ないんですよね。
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