えいる訪問看護ステーション、起業後の道のり
――起業してからは順調でしたか?
何をもって「順調」とするかによりますね。。。
一応、順調だと思える部分とそうでない部分と、両方あります。
まず、順調だったと思えるところは、「利用者獲得」です。
ベースとなる営業方法や戦略は起業前に決めていましたので、プラン通りに行動していきました。
すると、3ヶ月後ぐらいには相応数の利用者さんにご利用いただけるようになりました。
――凄いですね・・・!
そういう意味では、今まで培ったものはあながち間違ってなかったなと思えました。
あとは戦略として、緊急対応を行ったこと、リハビリが出来る点を訴えていたことなどが挙げられるかと思います。
うちは開始当初は看護師しかいなかったのですが、看護師がリハビリをできる強みを持っており、また、私が爪切りや巻き爪などのネイルケアも得意でした。
ですので、そのあたりに焦点を当てながらご説明をしていると、利用者さんを確保することが出来るようになってきました。
それから、ケアマネさんを含め、関わりを持ったあとに1度か2度で必ず信頼を得るようにしました。
その信頼関係の作り方は結構大事と言いますか、経験してきましたので、かなり注力した部分です。
――なるほど。ケアマネさんを含めてという点が肝かと思いました。
起業してから様々学びましたが、やはり仕事を依頼してくださる側に信頼をもらわなければならないということは、より一層思うようになりました。
特に私は去年(=2016年)に30歳になったばかりで、奥さんは28歳です。
すると、「なぜそんな若い子達が訪問看護やってるの?」と、ある意味「疑いを持つ」ところからスタートすることになります。
そこからいかに信頼を勝ち取るか。
今は「ステーションは空いていませんか?」とお客様から言っていただけるぐらいまで持ってこれましたが、、、本当に下積みがあるからこその今だと思っています。
――逆に、課題に感じているところはどういったところでしょうか?
1番は、人との接し方、入ったあとのケアだと思っています。
正直なところを言えば、ずっとその悩みは尽きません。
特に、訪問看護ステーションは「2.5人」を切ると営業停止というのは常に脳裏に浮かんでしまうものでして、その点でこれっぽっちも安心はできません。
これまで、入っていただける人もいれば辞めてしまう人もいました。
辞める方も、やむを得ない事情を含めていろんな理由がありました。
そのたびに、二度とそういう事が起きないように振り返りをして、スタッフと本音をぶつけ合いながら一緒に走ってきた2年間でした。
しかし、そういった経験を通して、やはり私一人の力では結局何もできないということ、皆がいてこその訪問看護ステーションであることを再確認できています。
「えいる」の「翼」という点でも、一人一人、一枚一枚が「羽」になっているようなものなので、私を含めて「羽」がそろうから「翼」が成り立つ。
関わる人がいてこそはじめて「えいる」が成り立つという点を改めて痛感しています。
関連する記事
【暮らしの保健室 秋山正子さんインタビュー第1回】「患者さんにとって本当に必要なことか?」という問い
「あなたが知っている訪問看護師と言えば?」と聞かれたとき、おそらく“必ず”挙がるであろう、秋山正子さんのインタビュー記事第1回です!
【暮らしの保健室 秋山正子さんインタビュー第3回】「自立支援」の本当の意味とは? ~マギーズ東京プロジェクトの本義~
マギーズ東京プロジェクト(がん患者と、支える人たちの居場所をつくる取り組み)のお話を通して、秋山正子さんが目指す「新しい相談支援の形」について伺います。
在宅看護は「人生のファーストチョイス」としての価値がある【日本ホスピスホールディングス・高橋 正社長インタビュー2】
日本ホスピスホールディングスの高橋 正社長インタビュー記事第2回です。「年間1万人の看取り支援」というビジョンを掲げる日本ホスピスホールディングスには、どのような工夫があるのでしょうか? 看取りを自分事として取り組むなら、本記事は必読です!
【岩本ゆりさんインタビュー第1回】「死」への怖れから看護師へ。意思決定支援スペシャリストの素顔とは。
助産師、婦人科の看護師、ホスピス病棟看護師等を経て、現在は「楽患ナース訪問看護ステーション」および重症児向けのデイケアを行う「楽患チャイルド」の所長など、幅広いご活動をされている岩本ゆりさんへのインタビュー記事です!
【岩本ゆりさんインタビュー第2回】看護師のアイデンティティーってなんだろう?
今回は、岩本さんの過去を紐解いていきます。特に、「看護師のアイデンティティーとはなんだろう?」と自問自答する岩本さんの姿勢からは、学ぶべき点がたくさんあるはず!