家族看護で気をつけていること
①利用者の家族と話し合う時間を大切にする
難病の患者さんの予後をできる限りイメージしやすいようにお伝えし、延命治療も含めた今後の方針について話し合うことが大切です。
難病患者さんは、初めは比較的動けていて、自分のこともできていたりします。
年齢的に若い方もおり、これからどんどん動けなくなり、自分のこともできなくなるということが本人や家族にとって想像しづらいこともあります。
年齢的に若い方は特にそうです。
そのため、今後のことについて早い段階でお伝えしていく必要があります。
どんどん自分の身の回りのことができなくなり、話せなくなり、食事がとれなくなり、場合によっては呼吸でさえも機械なしには自力で行えなくなる疾患もあります。
そうなると、自分の意思により延命を希望したりすることができず、家族の介助量も増えて介護疲労が蓄積してしまうケースもあります。
そのため、大変厳しいお話にはなりますが、患者さんや家族を含めて今後のことをできる限りイメージしやすいようになるべく早い段階でお話し、いざというときの体制を整えていくことが必要となります。
そのうえで、時間をかけて今後の方針について家族で話し合って決めていただいたり、どこまでの延命をしていくかなど、主治医やケアマネジャーなど他職種とも連携をとりながら、情報共有をしていくことが重要です。
②指導や介入する際に、自分の考えを押し付けすぎないこと
患者さん本人や家族に指導・介入する場合、例えば糖尿病と高血圧がある患者様に食事についての指導を行うとします。
病院では限られたカロリーや塩分のメニューを栄養士が作成してくれていますが、家では毎日食事を自分で、もしくは家族が考えて作らなくてはなりません。
病院で栄養指導を受けてきても、実際に家で実行できているかどうかわかりませんし、今までの長年の生活習慣(濃い味付けや間食が多い、カロリーが高いものが好きなど)が原因で高血圧や糖尿病につながっていることもあります。
糖尿病の指導入院している患者さんや家族に退院時の栄養指導を1回行っただけで生活習慣が変わるでしょうか?
訪問看護は患者さんの自宅に訪問するので、自宅での生活をみることができます。
そのうえでいろいろとアドバイスすることができます。
家では患者さんの奥さんが調理を担当しているとします。
フライパンが鉄製のもので調理時に油をたくさん使ってしまうというのであれば、テフロン加工のものにする、普通の醤油を使っているなら塩分を控えるために減塩しょうゆに変えましょう、などといった比較的簡単にできる指導からはじめます。
あとは何時にどんなものをどれくらい食べたか、本人や奥さんに協力してもらいながら簡易的に記録してもらい、それを振り返りながら少しずつ指導して患者さん本人だけでなく、家族を巻き込んで生活をできる範囲で変えてもらうことが大切です。
一気に何でも変えてもらったり、何が何でもだめですといった姿勢でいると、継続できませんし、毎回訪問に来るたびに口うるさく言われるのでは患者さんや家族に嫌がられてしまいます。
訪問を断られてしまっては本末転倒なので、私は自分の考えを一方的に押し付けることは絶対にしないよう、患者さんや家族に無理のない範囲で指導することを心がけていました。
家族看護で気をつけていること まとめ
『家族看護』は家族の対処を促し、適応を促進していく支援です。
何度も繰り返しにはなりますが、在宅では医療者(訪問看護師など)ありきではなく、家族ありきなので、医療者はあくまでも家族の役割が適切に機能するよう保佐や指導・見守りを行っている役割を担います。
自分が主体的に患者さんに関わるだけではよくないので、あくまでも患者さんを含めた家族、家庭を支援する側だという認識を常にもち、あらゆる知識や経験をもとに家族を支えていく技術が必要です。
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