前回はがんの原因や特徴についてご説明しました。
癌の原因は主に生活習慣に基づくものが多く、特徴は主に
- <1>自立性増殖
- <2>浸潤と転移
- <3>悪液質
の3つに分けられました。
では、がんの治療法としては、どういったものがあるのでしょうか?
今回は、「がんの三大治療法」について解説していきます。
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『ホスピス緩和ケアと癌(ガン)の基礎』シリーズの目次
第3回 癌の三大治療法
がんの三大治療法
がんには、主に3つの治療法(「三大治療法」)があると言われています。
それは、
- ・手術療法
- ・化学療法
- ・放射線療法
の3つです。
さまざまな検査を行いながら、”どの治療方法がその人のがんにもっとも効果を期待できるか“を、医師は探っていきます。
また、検査結果に加え、その人の年齢や性別、環境や希望なども考慮して総合的に判断し、治療方法が提案されることになります。
ここでは以下、それぞれの治療法についてご説明します。
画像出典:sakura-clnc.com
<1>手術療法
がんの病巣を直接切除する治療法で、患部の周辺組織やリンパ節に転移があれば、一緒に切り取ります。
早期のがんや、ある程度進行しているがんでも、切除可能な状態であれば、手術療法が積極的に行われます。
がんのかたまりが一気に取れることと、検査ではわからないごく小さな転移(微小転移)がなければ完治の可能性が高いことがメリットです。
ただし手術療法のデメリットとして、上図に挙げられているものの他、下記のようなものも挙げられます。
- ・創部(キズ)の治癒と全身の回復に時間がかかる
- ・臓器を切除することによって、臓器や体の機能が失われることがある
- ・ごく小さな転移(微小転移)は治療できない
- ・手術不能な場所にできたがんには適応しない
とはいえ、近年では切除する範囲をできるだけ最小限にとどめる方法(縮小手術)や、内視鏡(小型カメラ)を使った腹腔鏡下手術、胸腔鏡下手術など、
体への負担(侵襲)を少なくする手術の普及が進んでいるということは見過ごしてはいけない点でしょう。
<2>化学療法
主に、抗がん剤によってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑えたりする治療方法です。
抗がん剤の投与方法は、点滴や注射、内服で、血液を通して全身をめぐるためごく小さな転移にも効果があります。
たとえば乳がんや子宮がん、前立腺がん、甲状腺がんなど、「ホルモンが密接に関わっているがん」に対しては、「ホルモン療法(内分泌療法)」がよく行なわれます。
特定のホルモンの分泌や作用を抑制することで、がん細胞の活動を抑えて腫瘍を小さくしたり、転移や再発を抑えたりするためです。
この場合、副作用は”比較的”少なめですが、長期間治療を続ける必要があるのはネックと言えるでしょう。
さて、化学療法の難点(デメリット)ですが、
脱毛、吐き気、倦怠感、しびれ感など、副作用の症状や、肝臓や腎臓、造血器官などへの障害が避けられず、患者さんにとってつらい治療になりがちなところにつきます。
たとえば下記がその例になります。
- ・がん細胞以外の健康な細胞にも悪影響を与えるため、さまざまな副作用があらわれる可能性がある
- ・がんの種類によっては抗がん剤の効果があらわれにくい
- ・高額な薬を長期にわたって使用する場合もある
ただし、吐き気などの副作用をやわらげたり抑えたり、白血球の減少を抑える薬の開発などによって、日常生活に支障がない程度に症状を軽くできるようになってきています。
また最近は、がん細胞だけに作用する分子標的治療薬の開発が進み、実用化されているものが増えています。
※関連記事:【緩和ケアに係る診療報酬改定2016】外来化学療法加算の評価の見直し(用語説明付)
<3>放射線療法
がんの病巣部に放射線を照射して、がん細胞を死滅させる局所療法です。
治療前の検査技術や照射方法の進歩によって、がんの大きさや位置を正確に測り、その部分だけに集中的に照射することが可能になって、効果は格段に向上しています。
また、体の外側から放射線を照射する「外部照射」だけでなく、放射線を出す物質を密封した針やカプセルを病巣部に挿入する「密封小線源治療」、放射性物質を注射や内服で投与する「放射性同位元素内用療法」があります。
ただし、放射線治療には下記のようなデメリットも。
- ・放射線の影響により、照射部分の炎症症状などの放射線障害があらわれる
- ・めまいなどの全身症状があらわれることもある
- ・密封小線源治療、放射性同位元素内用療法では、一部、行動の制限が必要
近年では副作用に対し、症状をやわらげるケアを行う粒子線を使う「陽子線治療」や「重粒子線(炭素イオン線)治療」も実用化が進んでいます。
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