「肺がん」とは、気管・気管支・肺胞ががん化したことを指します。
日本のがんによる死亡者のうち、男性では約85%、女性では約32% が肺がんが原因となっています。
つまり日本のがん死亡者の半分ちょっとはこの「肺がん」によるものなのです。
この記事では、その肺がんの初期症状、類似する症状と肺がんの違い、見分け方をご説明します。
そして、、、万が一周りの方ががんに罹患してしまった場合に備え、
「がん患者さんとの接し方」についても学んでおきましょう!
本記事の目次
肺がんの初期症状
肺がんの初期症状は、比較的判別しにくいと言われています。
理由としては、上気道炎や気管支喘息(軽度)、肺炎の症状と類似しているからです。
また、上記の理由から、様子を見て治るだろうと自己判断して、いざ悪化した時に精密検査で発見される例も少なくありません。
以下に肺がんによる症状を列挙しました。
肺がんの初期症状1:咳嗽(せき)と喀痰(たん)
これは全ての肺癌に言える症状です。
乾性咳嗽(喀痰を伴うせき)・湿性咳嗽(痰や喀血を伴う湿ったせき)ともに増加します(初期では比較的乾性咳嗽が増加)。
咳嗽同様に喀痰も増加します。がん細胞が増殖・浸潤するとともに喀痰の正常・色・量にも変化が出てきますので、継続的な観察が必要です。
また、肺癌では進行すると胸水が貯留し、それに伴う咳嗽・喀痰が認められますので、やはり咳嗽の種類と喀痰の性状にも注意が必要です。
出典:mnn.com
肺がんの初期症状2:気管狭窄音
がん形成の部位によりますが、狭窄音を認めます。
初期では、気管が狭窄するほどの腫瘍ではありませんが、咳嗽・喀痰と並行して出現する可能性があります。
肺がんの初期症状3:胸部痛
これは、正常細胞のがん化や、咳嗽が増加・継続したことによる症状です。
胸痛は呼吸器疾患だけではなく、心疾患や整形の分野でも表れるため、胸痛だけでなく、呼吸器系の症状が他に出現しているかも合わせて確認します。
出典:lifed.com
肺がんの初期症状4:発熱
肺が慢性的に炎症を起こしているため、37.5℃前後のいわゆる微熱がでることがあります。
出典:seedoc.co
肺がんの見分け方
上にお伝えした通り、肺がんの初期症状とその他の類似症状は、困難な場合が多いです。その
中でも特徴的なものを挙げていきます。
肺がんの見分け方1:咳嗽と喀痰
咳嗽は、一か月以上続くことが指標となっています。
乾性咳嗽が一か月継続している場合は肺がんの可能性があります。
また、喀痰の特徴は血痰が出ることです。
糸を引いたような血液が混じることや、痰全体が血液交じりになることもあります。
肺がんの見分け方2:嚥下障害
がん形成部位によりますが、高齢で嚥下機能が低下している場合、初期の肺癌でも嚥下障害が出現することがあります。
肺がんの見分け方3:頚部および顔面の浮腫
肺血管の還流障害によって浮腫を引き起こす可能性があります。
浮腫と同時に気管狭窄も合併する可能性があるので、注意が必要です。
がん患者さんとの接し方について
では、がん患者さんと上手く接するには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか?
ここでは、ご家族やご友人の方向けの情報と、医療従事者向けの情報に分けてご説明します。
がん患者との接し方<家族・友人編>
まずは、ご家族の方ががん患者さんと接する場合です。
「寄り添うこと、話を聞いてあげること」
・「患者さんへの寄り添い」が重要な理由
「患者さんへの寄り添いが大事だ」ということは、誰でも分かるかと思います。
が、その理由を明確に理解しているかどうかは、非常に重要ですので、以下述べていきます。
第1に、周りからあれこれ言われ、なんでも決められてしまうと、かえって本人の為になりません。
しかも、がん患者というものは、「自分のせいで周りに負担を・・・」と考えがちになりやすいもの。
あくまでも、周りのご家族やご友人が、強い気持ちを持ち、患者さんを一番に考え・支えることが重要です。
第2に、がんを宣告された患者さんは、日々の身体のコンディションによってついネガティブになってしまうことがあります。
不安がたまって何かを話したくなった時に、家族や友人が話を聞いてあげるということは、重要な意味を持ちます。
したがって、無理に会話をしようとするのではなく、「まずは何を考え、思っているのか聞き出す」、「それに対して誠実に答える」ということを考えましょう。
・患者さんとのコミュニケーション(具体的方法)
では、「がん患者さんとお話しをする」という点で特に知っておきたいポイントはどのようなものでしょうか?
コミュニケーションにおいては、あまり多く知識を入れすぎても、なかなか覚えたり実践出来るものではありません。
したがって、下記の6つに絞ってご紹介します。
- 1. 治療法を押し付けない
- 2. 軽率な励ましをしない
- 3. 会話に答えを探そうとしない
- 4. 会話は患者さんにリードさせ、大きくあいづちを打つ
- 5. 話の速度に注意し、患者ペースに合わせたテンポで、落ち着いたトーンで会話をする
- 6. 少し先のことをイメージできるような話をする
補足をしておくと、特に[ 6 ]は重要かもしれません。
患者さんとの会話のほとんどは、病気、病院、治療、などになってしまい、なんの為に治療を行っているのかわからなくなってしまいます。
そんな時は少し先の将来について考えるキッカケを作ると、「治療を頑張ろう!!」という気持ちになりやすいもの。
「今の治療が終わったら、好きな場所に行こう!」などの具体的な約束をすると、患者さんも「それまでなんとか頑張ろう」という気持ちになれるかと思います。
がん患者との接し方<看護師編>
看護師ががん患者と接する場合でも、家族・友人編と、大きくは変わりません。
ただし!
医療従事者として見てあげたい点が1点あります。
うつ状態に気をつける
「がん患者の15%~30%はうつ状態である」という報告もあり、
不安と肉体の不調から、うつ状態になる方も珍しくはありません。
また、うつ状態を放っておくと治療の効果もあがりません。
あまり患者が沈んでいたら、心療内科に相談するのも重要でしょう。
※「がん患者さんとの接し方」に関するおすすめ書籍
・高橋美智子、熊谷靖代、梅田恵編『ナースによるナースのためのがん患者のペインマネジメント (Nursing Today)』(日本看護協会出版会、2014年)
→こちらの著者の梅田恵先生のインタビュー記事も面白いですよ!
※「がん患者さんとの接し方」に関する参考論文
・大谷 恭平、内富 庸介「がん患者の心理と心のケア」『日本耳鼻咽喉科学会会報113巻』(2010年)
肺がんの初期症状と見分け方、がん患者との接し方 まとめ
肺がんは、初期症状による自己判別が難しく、気づいた時には進行していることが多いがんです。
些細な症状を見逃さず、少しでも「あれ?」と思ったら早めの検診を行ってください。
また、そんな自覚症状が少ない中で、がんに罹患したと知ったときのショックは計り知れませんよね、、、
仮にそうしたがん患者さんと接する際には、上記のポイントを心がけましょう。
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