クリニカルパスとは、治療や検査にあたってどのような処置を行うか、その実施内容や順序を入力したスケジュール表のことです。
現在では多くの病院で当たり前に使われているクリニカルパスですが、本来の目的は入院期間の短縮や医療費の削減などであることはご存知ですか?
今回はクリニカルパスのあれこれについてまとめてみたいと思います。
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クリニカルパスの歴史
クリニカルパスは1980年代に米国で開発されました。
その後1990年代に入り日本でも急性期病棟を中心にクリニカルパスの運用を開始する病院が増加。
さらに1999年には日本クリニカルパス学会が発足し、DPC制度の導入に伴い、クリニカルパスは全国の医療機関に広まることとなりました。
日本クリニカルパス学会では、クリニカルパスについて次のように定義しています。
クリニカルパスとは、患者状態と診療行為の目標、および評価・記録を含む標準診療計画であり、標準からの逸脱を分析することで医療の質を改善する手法
クリニカルパスは医療を標準化し、その工程を管理、統一することにより、問題点などを明確にし、最終的には医療の質の向上を目的としています。
画像出典:pond5
クリニカルパスのメリット
「標準化」による医療費の削減等
クリニカルパスのメリットは、やはり「標準化」と言えるのではないでしょうか。
医療機関によりクリニカルパスの運用方法や内容は様々ですが、クリニカルパスで退院までに必要な日数、薬品、検査、指示、看護計画や診療計画が入院前から準備ができ、予定通りに行けば、在院日数や医療費の削減につながるということになります。
DPC導入病院がクリニカルパスを積極的に使用するのはこのためです。
逆を言えば、クリニカルパスなしにはDPC制度は確立しない言っても良いくらいです。
業務効率の向上と患者さんの安全・安心
また、クリニカルパスは医療従事者の業務効率を上げることにもつながり、さらには患者さんの安全や安心にもつながります。
患者さんに説明を行う際にも、統一した内容で説明できるという点は大きなメリットだと言えます。
予定通りに検査や処置を受けて退院できるということは患者さんとってのメリットは大きいでしょう。
業務を標準化し、無駄をなくし、効率を上げるということは、忙しい看護師の業務負担を減らすことにもつながり、看護師は効率が上がり余裕ができた分、患者さんに対しての看護を充実させることができます。
また、看護師は経験年数に関わらず、クリニカルパス通りに動くことができます。
まさに病院、患者さん、医療スタッフ、すべての面でメリットがあるといえるでしょう。
▶ 次ページへ:クリニカルパスのデメリットとは
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