現在大学院講師であり、事業家でもあられる梅田恵先生にインタビューを行いました。
インタビューを通して感じたのは、梅田先生の根底にある「『看護師』という仕事への敬意」でした。
現役のナースの方は、是非、梅田先生の真剣で前向きな思想に触れてみて下さい!
全4回。
まず初回は、梅田先生が現在どのようなお仕事をしているのかを中心に、先生のお考えを紐解いていきたいと思います。
梅田恵先生プロフィール
1987年3月 京都市立看護短期大学卒業
1987年4月 淀川キリスト教病院入職
1992年3月 聖路加看護大学卒業
1992年4月~ イギリスにて緩和ケア研修
1994年4月 昭和大学病院入職
1999年3月 聖路加看護大学院前期博士課程(がん看護専門看護師コース)卒業
2000年10月 日本看護協会 がん看護専門看護師認定(第16号)
2004年9月 聖路加看護大学臨床教授兼任
2006年9月 オフィス梅田開設 / 昭和大学病院非常勤看護師(緩和ケアセンター)
2008年1月 ナグモクリニック非常勤看護師
2009年4月 (株)緩和ケアパートナーズ設立 代表取締役就任
2014年3月 聖路加看護大学大学院博士後期課程 修了(看護学博士)
2014年11月 昭和大学大学院保健医療学研究科教授就任 がん看護専門看護師コース担当
梅田恵先生の現在のお仕事について
――現在、主にどのようなお仕事をなさっているのでしょうか?
メインの仕事は昭和大学大学院保健医療学部研究科、がん看護専門看護師コースの教員です。
そこでは大学院が担当で、がんのCNSコースの学生だけを担当することになっています。
また、CNSを育成する実践現場の開拓の意味もあり昭和大学病院で週3回は白衣を着てうろうろしています。
今の仕事はがんの患者さんの「交通整理」みたいな仕事と自分では思っています。
「この人にどんな看護が必要?」と考え、それに応じて緩和ケアが必要、あるいはゆっくり気持ちを聞いて思考を整理してもらおう、地域のリソースの活用が必要、などのように割り振るような活動になります。
あとは、ナースが既存の仕事でアップアップしていることがあり、日々新しいニーズに実は気づいているのに気づかないようにしていたりと、矛盾の中で仕事をしていることがあります。
そうした場合に一歩先の仕事が出来るように、それを「気付いていい」と促すシステムを作ることもめざして、うろうろしています。
「明日考えたい」と思っていることに対して「ダメ!」と言う、「見張り役」のようなお仕事です。
あと、今はコンサルタントの仕事もやっていますが、週末だけになります。
――コンサルタントというと、具体的にはどのような業務でしょうか?
産業界での「コンサルタント」のような華やかな仕事というよりは、「看護師の相談役」という感じですかね。
だから、「コンサルタント」という呼び方が正しいかどうかはわからないです。
――どのようなご相談をいただきますか?
私はもともと、昭和大学の「緩和ケアチーム」といって、病院内の部署を越えて横断的に緩和ケアを積極的に行い、
看護師とともに一緒に四苦八苦するようなチームを作り上げてきたということが、私の一番のキャリアです。
緩和ケアチーム活動で行っていたことは・・・具体的な話でいうと、昔はモルヒネを使うっていうのが一般的ではなかったんです。
モルヒネを使うとすぐ死んじゃうと医者やナースが思っていたりするわけですので、
「これはきちんと管理して使えば安全な薬だ」と説明して理解をうながしたり、
「患者さんにはこんな風に説明できる」ということをナースと一緒に取り組んだりしていくうちに、
今となっては当たり前のように使われています。
ただ、初めての時には抵抗があったりうまくシステムに乗らないということがあるので、そこをぐっと後押しするようなお仕事をコンサルタントとしてやっていました。
ですので、それと同じようなことをいろんな施設にも提供できればいいなと思って始めたことが、起業してからの仕事になります。
——では、相談をする(受ける)相手というのは、看護師個人というよりも組織になるのですか?
基本的に看護部長・看護管理者から依頼をもらって、現場の認定看護師や専門看護師の人たちをバックアップするような仕事をしています。
画像出典:stylepinner.com
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