前回は、死亡率1位の「肺がん」の初期症状と見分け方をご紹介しました。
今回は、肺がんに次ぐ死亡率の高さとなっている「胃がん」の初期症状と見分け方をご紹介します。
がん治療で最も大切なのは早期発見です!
そして、万が一周りの人たちががんに犯されてしまった場合のことを考えて、、、
「がん患者さんとの接し方」も一緒に学んでおきましょう!
画像出典:medscape.com
本記事の目次
胃がんの初期症状
胃がん初期の自覚症状は、胃がんかどうか非常に判別しにくいと言われています。
なぜなら、その症状のほとんどが日常生活の中で、比較的頻繁に起こりうる症状だからです。
以下に自覚症状を列挙します。
・胃部不快感・胸やけ
患者が最も訴える自覚症状の一つです。
先にもお伝えした通り、脂っこい食事の過剰摂取や、アルコールの過剰摂取でも同じ自覚症状が現れます。
・食欲不振・嘔気
比較的多くの患者が訴える自覚症状です。
胃部不快感と比較すると、日常生活で現れることが少なく、嘔気が継続すると受診する可能性が高いため、嘔気をきっかけに発見される場合も少なくありません。
・タール便
初期段階の胃がんでも、出血を伴っている場合、胃酸により血液が酸化してタール便となります。
通常のタール便は黒色ですが、暗赤色(血便)となる場合、胃がんの疑いがあります。
・その他
その他の初期の症状としては、貧血や体重減少などが挙げられます。
胃がんの見分け方
先にもお話ししたように、胃がんは症状がほぼ出現することがないです。(または出現しても判別しにくい)
よって胃がんを判別するには、検査をするしか方法はありません。
胃がんの検査方法
上部消化管内視鏡検査
いわゆる胃カメラです。患者の鼻腔または口腔からカメラを挿入し、胃の粘膜を観察します。
潰瘍か初期の胃がんかを判別するには、粘膜の凹凸を見ます。
しかし、初期の胃がんには凹凸が認められないことが多く、ほとんどの場合、胃粘膜を生検し病理学検査で判断します。
上部消化管造影
バリウムを内服し、胃を含む消化器官を検査する方法です。
他のX線検査よりも信頼性が高いと言われています。
ペプシノーゲン検査
血液中のたんぱく質の一つである、ペプシノーゲンで胃の委縮の有無を検査する方法です。
がんは胃粘膜が委縮変性しますが、この方法では委縮しているかのみが分かるため、胃がんの直接的マーカーにはなりません。
血液検査
各がんには、腫瘍マーカーという特殊な血液検査を実施します。
胃がんではCEA、CA19-9などのマーカーを用います。
しかし、胃がん初期の段階では上昇しないこともあり、また上昇しても正常範囲に留まることから、上記検査より正確性は劣ります。
がん患者さんとの接し方について
では、がん患者さんと上手く接するには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか?
ここでは、ご家族やご友人の方向けの情報と、医療従事者向けの情報に分けてご説明します。
がん患者との接し方<家族・友人編>
まずは、ご家族の方ががん患者さんと接する場合です。
「寄り添うこと、話を聞いてあげること」
・「患者さんへの寄り添い」が重要な理由
「患者さんへの寄り添いが大事だ」ということは、誰でも分かるかと思います。
が、その理由を明確に理解しているかどうかは、非常に重要ですので、以下述べていきます。
第1に、周りからあれこれ言われ、なんでも決められてしまうと、かえって本人の為になりません。
しかも、がん患者というものは、「自分のせいで周りに負担を・・・」と考えがちになりやすいもの。
あくまでも、周りのご家族やご友人が、強い気持ちを持ち、患者さんを一番に考え・支えることが重要です。
第2に、がんを宣告された患者さんは、日々の身体のコンディションによってついネガティブになってしまうことがあります。
不安がたまって何かを話したくなった時に、家族や友人が話を聞いてあげるということは、重要な意味を持ちます。
したがって、無理に会話をしようとするのではなく、「まずは何を考え、思っているのか聞き出す」、「それに対して誠実に答える」ということを考えましょう。
・患者さんとのコミュニケーション(具体的方法)
では、「がん患者さんとお話しをする」という点で特に知っておきたいポイントはどのようなものでしょうか?
コミュニケーションにおいては、あまり多く知識を入れすぎても、なかなか覚えたり実践出来るものではありません。
したがって、下記の6つに絞ってご紹介します。
- 1. 治療法を押し付けない
- 2. 軽率な励ましをしない
- 3. 会話に答えを探そうとしない
- 4. 会話は患者さんにリードさせ、大きくあいづちを打つ
- 5. 話の速度に注意し、患者ペースに合わせたテンポで、落ち着いたトーンで会話をする
- 6. 少し先のことをイメージできるような話をする
補足をしておくと、特に[ 6 ]は重要かもしれません。
患者さんとの会話のほとんどは、病気、病院、治療、などになってしまい、なんの為に治療を行っているのかわからなくなってしまいます。
そんな時は少し先の将来について考えるキッカケを作ると、「治療を頑張ろう!!」という気持ちになりやすいもの。
「今の治療が終わったら、好きな場所に行こう!」などの具体的な約束をすると、患者さんも「それまでなんとか頑張ろう」という気持ちになれるかと思います。
がん患者との接し方<看護師編>
看護師ががん患者と接する場合でも、家族・友人編と、大きくは変わりません。
ただし!
医療従事者として見てあげたい点が1点あります。
うつ状態に気をつける
「がん患者の15%~30%はうつ状態である」という報告もあり、
不安と肉体の不調から、うつ状態になる方も珍しくはありません。
また、うつ状態を放っておくと治療の効果もあがりません。
あまり患者が沈んでいたら、心療内科に相談するのも重要でしょう。
※「がん患者さんとの接し方」に関するおすすめ書籍
・高橋美智子、熊谷靖代、梅田恵編『ナースによるナースのためのがん患者のペインマネジメント (Nursing Today)』(日本看護協会出版会、2014年)
→こちらの著者の梅田恵先生のインタビュー記事も面白いですよ!
※「がん患者さんとの接し方」に関する参考論文
・大谷 恭平、内富 庸介「がん患者の心理と心のケア」『日本耳鼻咽喉科学会会報113巻』(2010年)
胃がんの初期症状と見分け方、がん患者への接し方 まとめ
いかがだったでしょうか。
胃がんは症状が出現しているにも関わらず、表面上の症状では患者のみならず医療関係者でも判断しかねる場合が多くみられます。
初期の胃がんを発見するには、検査が必須と言えるでしょう。
少しでもあれ?と思ったらすぐに検査を受けましょう。
『ホスピスと癌(ガン)の基礎知識』 第1回:日本人にとっての癌
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