これまで、肺がん・胃がんの初期症状と見分け方をご紹介しました。
今回は、上記2つに続いて死亡率3位となっている大腸がんにフォーカスします。
この大腸がん、昨今女性の罹患率が上昇し問題になっています。
大腸がんは便の異常を確認することが重要で、全身状態にも徐々に異常が出現します。
本記事をご一読頂き、大腸がんの初期症状と見分け方、
そして、がん患者との接し方を把握しましょう!
本記事の目次
大腸がんの初期症状とは?
大腸がんは、初期段階ではほぼ症状はありません。
したがって、症状が出現したらある程度病変が大きくなっていることを指します。
それでは、以下6つの初期症状をご紹介します。
大腸がんの初期症状その1:「腹痛」
便が病変部を通過するときに、圧迫されることによって疼痛を引き起こします。
また、直腸がんでは残便感がある場合もあります。
大腸がんの初期症状その2:下血(血液成分を肛門から排出すること)
直腸がんの場合は特に出現する可能性があります。
直腸では、大腸での水分の再吸収が進み、便が有形便となるのが正常な生理なので、病変部を刺激しやすくなります。
また、痔でも下血することがあるので、判別が必要です。
大腸がんの初期症状その3:血便
大腸がんでも部位によっては肉眼的な潜血状態が不明になります。
小腸付近では、水分が再吸収されていないため分かりづらく、直腸付近では便が固形に近づいているため、便に付着することが多く分かりやすいです。
しかし、出血量・便性状により変化が著しいため、一概には言えません。
大腸がんの初期症状その4:排便状況の変化
病変があることで、便の通りが妨げられ引き起こります。
便秘と下痢を繰り返すことで気づくことが可能ですが、健康な状態でも不規則な生活を送っていたり、
もともと軟便だったりする場合、症状に気づきにくくなります。
大腸がんの初期症状その5:便が細くなる
腫瘍が大腸を狭窄(せまく)させることで起こります。
左記理由では腫瘍が大きいと感じると思いますが、初期でも起こることがあるので注意が必要です。
大腸がんの初期症状その6:貧血
出血により慢性的な貧血状態になることで、倦怠感、眩暈、起立性低血圧などの症状を起こします。
血圧や採血データの把握に努めます。
大腸がんの見分け方
先にもお伝えした通り、大腸がんは初期の段階では症状がありません。
そして、排便状態は非常に個人差が大きいため、普段の排便状態との比較が必要といえます。
よって、定期的な検診・検査が重要となります。
以下の検査により、大腸がんの判別を行います。
大腸がんの検査方法
1.便潜血検査
大腸がんでは、血管が豊富な腫瘍から、また腫瘍の一部に潰瘍ができてその潰瘍から出血する場合があります。
このような場合、排便時にその部分がこすられて、便に血液が混入します。
この便中に混じったわずかな血液を検出するのが、便潜血検査です。
この検査法が陽性だったからといって、必ず大腸がんがあるとは限りません。
大腸がん以外の疾患(良性潰瘍や炎症など)でも出血が認められる場合があるからです。
また肉類や魚類など、ヘモグロビン(血液の中に含まれる物質)を豊富に含む食事を摂っていた場合にも偽陽性となることがあります。
逆に、陰性だからといって大腸がんがないとも言い切れません。
大腸がんがあったとしても、出血が見られない日もあります。
また、検査法によっては、ヘモグロビンの作用を相殺してしまうビタミンCなどの存在によって、偽陰性の結果が出てしまうこともあります。
以上のように、絶対確実なものではありません。
しかし大腸がんによる死亡リスクを下げる事ができるので、発症可能性が高くなる40歳を過ぎたら、1~2年に1回は積極的に大腸がん検診を受けるよう心がけましょう。
2.直腸診
直腸(大腸の肛門近くの領域の事)でも、肛門に近い部分にがんがあるかどうかを、医師が指で直接触って調べるのが直腸診です。
医師は薄手の手袋をして、肛門から指を入れ、直腸部分を触って診断します。
悪性のがんかどうかまではわかりませんが、こぶ状のものやしこりがあるかどうか、それは肛門からどの程度の位置にあるのか、といったことがわかります。
特に、便に目で見てはっきりとわかる出血がある場合や、肛門から近い直腸部分にがんがある場合に、直腸診は有用です。
3.注腸造影検査
肛門から造影剤(バリウム)と空気を注入し、X線写真を撮影する方法です。
胃がんの検査で、バリウムを飲んだことがある人がいるかもしれません。
原理は胃がんの検査と同じで、肛門からバリウムと空気を入れていくことで、大腸の輪郭を調べます。
腸壁が変形しているなどの異常があれば、大腸がんの可能性を検討します。
4.大腸内視鏡検査
肛門から軟らかい管状の小型カメラ(内視鏡)を挿入し診断を行う方法です。
最大の特徴は、大腸の粘膜面を直接観察できる点です。
がんの位置や大きさなどを確認するとともに、観察用の色素をまいて大腸の表面構造を詳しく観察することで、がんがどの程度の深さまで広がっているかについても予想することができます。
がん患者さんとの接し方について
では、がん患者さんと上手く接するには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか?
ここでは、ご家族やご友人の方向けの情報と、医療従事者向けの情報に分けてご説明します。
がん患者との接し方<家族・友人編>
まずは、ご家族の方ががん患者さんと接する場合です。
「寄り添うこと、話を聞いてあげること」
・「患者さんへの寄り添い」が重要な理由
「患者さんへの寄り添いが大事だ」ということは、誰でも分かるかと思います。
が、その理由を明確に理解しているかどうかは、非常に重要ですので、以下述べていきます。
第1に、周りからあれこれ言われ、なんでも決められてしまうと、かえって本人の為になりません。
しかも、がん患者というものは、「自分のせいで周りに負担を・・・」と考えがちになりやすいもの。
あくまでも、周りのご家族やご友人が、強い気持ちを持ち、患者さんを一番に考え・支えることが重要です。
第2に、がんを宣告された患者さんは、日々の身体のコンディションによってついネガティブになってしまうことがあります。
不安がたまって何かを話したくなった時に、家族や友人が話を聞いてあげるということは、重要な意味を持ちます。
したがって、無理に会話をしようとするのではなく、「まずは何を考え、思っているのか聞き出す」、「それに対して誠実に答える」ということを考えましょう。
・患者さんとのコミュニケーション(具体的方法)
では、「がん患者さんとお話しをする」という点で特に知っておきたいポイントはどのようなものでしょうか?
コミュニケーションにおいては、あまり多く知識を入れすぎても、なかなか覚えたり実践出来るものではありません。
したがって、下記の6つに絞ってご紹介します。
- 1. 治療法を押し付けない
- 2. 軽率な励ましをしない
- 3. 会話に答えを探そうとしない
- 4. 会話は患者さんにリードさせ、大きくあいづちを打つ
- 5. 話の速度に注意し、患者ペースに合わせたテンポで、落ち着いたトーンで会話をする
- 6. 少し先のことをイメージできるような話をする
補足をしておくと、特に[ 6 ]は重要かもしれません。
患者さんとの会話のほとんどは、病気、病院、治療、などになってしまい、なんの為に治療を行っているのかわからなくなってしまいます。
そんな時は少し先の将来について考えるキッカケを作ると、「治療を頑張ろう!!」という気持ちになりやすいもの。
「今の治療が終わったら、好きな場所に行こう!」などの具体的な約束をすると、患者さんも「それまでなんとか頑張ろう」という気持ちになれるかと思います。
がん患者との接し方<看護師編>
看護師ががん患者と接する場合でも、家族・友人編と大きくは変わりません。
ただし!
医療従事者として見てあげたい点が1点あります。
うつ状態に気をつける
「がん患者の15%~30%はうつ状態である」という報告もあり、
不安と肉体の不調から、うつ状態になる方も珍しくはありません。
また、うつ状態を放っておくと治療の効果もあがりません。
あまり患者が沈んでいたら、心療内科に相談するのも重要でしょう。
※「がん患者さんとの接し方」に関するおすすめ書籍
・高橋美智子、熊谷靖代、梅田恵編『ナースによるナースのためのがん患者のペインマネジメント (Nursing Today)』(日本看護協会出版会、2014年)
→こちらの著者の梅田恵先生のインタビュー記事も面白いですよ!
※「がん患者さんとの接し方」に関する参考論文
・大谷 恭平、内富 庸介「がん患者の心理と心のケア」『日本耳鼻咽喉科学会会報113巻』(2010年)
大腸がんの初期症状と見分け方、がん患者との接し方 まとめ
いかがでしたでしょうか。
大腸がんは初期症状が分かりにくいため、早期発見が困難な場合が多く、発見した際は腹膜転移していることも珍しくありません。
昨今では特に女性の罹患率・死亡率が増加傾向にあります。
女性の方は勿論ですが、男性の方も普段から便に気をはらい、おかしいと思ったらすぐ検査を受けるようにしましょう。
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