双極性障害と書くと馴染みがないかもしれませんね。
少し前までは『躁うつ病』と言われていた気分障害のひとつです。
近年ではストレスを抱える若い人たちに双極性障害広がっています。
そこで今回は双極性障害の症状・予防・治療法を紹介させていただきます。
画像出典:shape.com
本記事の目次
双極性障害とは?
『双極』には、『躁とうつという両極端な気分を揺れ動く』という意味があります。
双極性障害は、その名の通り躁状態とうつ状態が繰り返し現れる病気です。
いわゆるうつ病は単極性うつ病といわれ、同じうつ症状があるので区別が必要です。
双極性障害の特徴
- ●躁とうつが繰り返し現れる
- ●症状の現れ方の個人差がある
- ●診断は難しく、時間がかかる
- ●再発しやすく、慢性的に経過する
- ●Ⅰ型とⅡ型があり、躁の状態で分ける
- ●発症の男女差はほとんどなく同じ
- ●20歳前後に発症しやすい
- ●発病には、遺伝子・成長歴・環境・脳のダメージなどが複雑に関係する
- ●ストレスや睡眠不足が発症の誘因になりやすい
- ●パニック障害や非定型うつ病など、ほかの精神疾患を併発しやすい
- ●春~夏は躁、秋~冬はうつが多くなる
双極性障害とうつ病の違い
双極性障害は診断や治療がとても難しい病気です。
同じようなうつ症状がでる、うつ病(単極性うつ病)との見極めが大切です。
そこで、この2つの違いをあげていきます。
1. 症状の違い
病状がうつ症状から始まる場合は経過観察が必要になりますが、双極性障害のうつ症状の方が以下の傾向があると言われています。
- ●「急激に発症」
- ●「比較的重症」
- ●「妄想や幻覚などを伴う」
また、うつ病にはない躁症状があるのが最大の特徴です。
2 .なりやすい年代、男女比の違い
うつ病は平均40歳、双極性障害は20歳前後と言われています。
双極性障害が若い年代で発症しやすいのは、遺伝的な影響を受けやすいためです。
発症の男女比にも違いがあり、うつ病は女性に多いのに対し、双極性障害は男女比に差がありません。
3 .再発率の違い
双極性障害は再発しやすい病気で、再発率は90%以上と言われています。
対して、うつ病は再発がほとんどなく、治療をし回復すれば薬をやめることもできます。
以下のうち5つ以上あれば双極性障害の疑い&単極性うつ病の疑い |
●過眠 ●過食 ●精神運動抑制 ●非定型症状 ●精神病性症状または病的な自責感 ●気分変動または躁状態 ●発症が25歳より前 ●うつ病エピソードが5回以上 ●双極性障害の血縁者がいる |
以下のうち4つあれば単極性うつ病の疑い |
●不眠 ●食欲不振 ●精神運動焦燥 ●身体的愁訴 ●発症が25歳より後 ●うつ病歴が半年以上 ●双極性障害の血縁者がいない |
双極性障害のタイプ
双極性障害は3つのタイプに分類されます。
1 .双極Ⅰ型
- ●Ⅰ型もⅡ型もうつ症状は同程度
- ●躁の期間よりうつの期間の方が長い
- ●躁状態がはっきりしていて重く、それが長く続く
- ●躁状態の時の影響が大きい
2 .双極Ⅱ型
- ●Ⅰ型と比べ、躁状態が軽いので単極性うつ病と間違えやすい
- ●軽躁状態ではトラブルはほとんど起こさないため、見過ごされることが多い
- ●Ⅱ型の軽躁状態は、パーソナリティ障害や非定型うつ病などの他の精神疾患と見分けがつきにくい
- ●1型より慢性化しやすく、自殺のリスクが高い
3 .気分循環性障害
- ●軽い躁状態と軽いうつ状態を繰り返す
- ●気分が不安定な期間が2年以上続く
- ●「情緒不安定」「気分屋」に見られ、病気に気づきにくい
- ●しっかり治療を受けないと、双極性障害に悪化する恐れがある
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