在宅で酸素療法をされている患者さんには、呼吸のリハビリを行う必要があります。
担当としては理学療法士がメインとなるのでしょうが、訪問看護師も効率よく酸素が取り込めるよう、訪問した際に指導することが必要です。
本記事では、在宅での呼吸リハビリの指導方法について記述します。
基礎的な内容も多々あるかもしれませんが、少しでも皆様の参考になれば幸いです。
※本記事は、COPDの利用者様を想定しています。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは:「COPDは従来、慢性気管支炎、肺気腫と呼ばれていた疾患です。 慢性気管支炎、肺気腫を含むCOPDは、タバコによる気道や肺胞の炎症で生じ、肺の働きが低下します。 COPDになると正常な呼吸が困難になり、せき、たん、息切れなどの症状がみられるようになります。」(引用元)
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本記事の目次
在宅での呼吸リハビリの指導方法1:呼吸法の指導について
まず、「口すぼめ呼吸」と「腹式呼吸」の指導を行う際のコツをご紹介します。
口すぼめ呼吸
口すぼめ呼吸とは、鼻から空気を吸って、口をすぼめて吐き出す呼吸方法です。
これにより、気管支を広げることができます。
ポイントは、吸気に対して呼気を2倍になるように呼吸することと、ゆっくりと長く吐くことです。
「シャボン玉を作るような感じで吐く」というと分かりやすく理解してもらえるかと思います。
また、口をすぼめるのが苦手な方は、コップに水を入れてストローで吐き、ブクブクさせてみて、ご自分で自覚していただくのも良いでしょう。
腹式呼吸
ここでは、腹式呼吸の練習方法をご説明します。
まず仰向けになり、手を胸とお腹におきます。
次に、鼻から息を吸い込み、お腹が膨らむのを手で確認します。
そして、お腹の力を抜いて、口をすぼめながらゆっくりと息を吐きます。
仰向けでできるようになったら、座位、立位でもできるように練習をしましょう。
画像出典:i.ytimg.com
在宅での呼吸リハビリの指導方法2:日常生活動作に呼吸法を取り入れる
下記の通り、日常生活動作を「歩くとき」「階段を上るとき」「起き上がりのとき」などのように場合分けをすることで、教える側も利用者さん側も分かりやすくリハビリを進めていくことができるでしょう。
歩くときの呼吸法
まず、歩き出す前に息を吸います。
息を吐きながら「1、2,3,4」と4歩進み、息を吸いながら「1,2」と2歩進みます。
また息を吐きながら4歩進み、息を吸いながら2歩進むを繰り返します。
階段を上るときの呼吸法
まずは、手すりを持ち、息を吸います。
次に、歩くときと同じように、息を吐きながら「1,2,3,4」と4段上ったのち、「1,2」と息を吸いながら階段を上ることで休みます。
同じように、息を吐きながら4段上り、息を吸いながら休むを繰り返します。
起き上がりのときの呼吸法
仰向きの状態で、両手を体の横におきます。
右手を少し開いて、鼻から息を吸って腹式呼吸を行います。
上体をねじりながら左手を体と右の手の間につき、両手で体を押しながら座ります(この時は口すぼめ呼吸で吐きます)。
座ったところで鼻から息を吸って、腹式呼吸で呼吸を整えます。
画像出典:「慢性の呼吸器疾患患者さまへの理学療法」
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