前回は、ホスピス緩和ケアの概要についてご説明しました。
そこでは、「緩和ケアが広がりをみせつつあるというのが現状である」と述べました。
では、緩和ケアとは具体的にどのようなことをするのでしょうか?
今回は、具体的にホスピス緩和ケアがどういうものなのか、どういった治療を行うのかといった点に触れていきます。
画像出典:scosmendrisio.ch
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『ホスピス緩和ケアと癌(ガン)の基礎』シリーズの目次
第5回 ホスピスの癌ケア1
ホスピスでのがん治療とは?
ホスピスではまったく医療行為が行われないように思われているかもしれませんが、そうではありません。
いわゆる延命治療が一般的に行われることはありませんが、痛みのコントロール( 疼痛緩和)や、吐き気・嘔吐、呼吸困難など諸症状の緩和を中心とした医療行為はむしろ積極的に行われます。
とくに、わが国のホスピスは、欧米のホスピスと違って、がんに対する治療行為を全面的に放棄しないことがしばしばあります。
また、ホスピスでは、痛みのコントロールなどで患者さんが食欲や元気をとりもどし、自分で歩けるようになるケースもまれではありません。
ですから、寝たきりの患者さんばかりではなく、デイルームまできて食事をとるほど元気な人の姿もみられます。
痛みのコントロールが効果をあげて、入院前に予想された余命をはるかにこえて生きられた患者さんの例も認められています。
がん医療におけるホスピス緩和ケア
がん医療における緩和ケアでは、がんに伴う体と心の痛みを和らげ、生活やその人らしさを大切にするという考えを大事にします
※QOLについては第4回「ホスピスケアにおける癌」を参照のこと
がん患者さんやご家族は、がんと診断されたとき、治療の経過中、あるいは再発や転移がわかったときなどのさまざまな場面でつらさやストレスを感じてしまいます。
そこで、緩和ケアでは患者さんとご家族が自分らしく過ごせるように、医学的な側面に限らず、いろいろな場面で幅広い対応をしていきます。
具体的には、痛みや吐き気、食欲低下、息苦しさ、だるさなどの体の不調や、気分の落ち込みや絶望感などの心の問題などにも、医師や看護師、薬剤師をはじめとした多職種で対応します(参考・引用)。
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