自分の親族が寝たきりになってしまい、ご自身で意思決定を行えない時、どのような治療方針で進めていくべきかわからない。
今の医療現場ではこういった事態に直面することがあります。
患者さん自身の意思を聞けないと、患者さんだけでなく、そのご家族もつらい思いをしてしまいます。
そのような事態をなくすために、アドバンス・ケア・プランニングに取り組む必要があるのです。
今回はそんなアドバンス・ケア・プランニングについてお伝えしていきます。
画像出典:honoringchoices.org
アドバンス・ケア・プランニングとは
定義
アドバンス・ケア・プランニングとは、将来の意思決定能力の低下に備えて、患者さまやそのご家族とケア全体の目標や具体的な治療・療養について話し合う課程(プロセス)とされています。
簡単に言うと…
自分の身に「もしも」の時がおとずれた場合に、自分の受けたい治療や受けたくない治療、自分はどうしたいのか、何が大事なのかという自分の価値観を大切な人を前もって、話しっておくということです。
アドバンス・ケア・プランニングの弊害になるもの
タブー視される「死」
日本人は「死」に対して、忌まわしいという思いがあるのか、元気な時にでも話題にすることはタブーとされています。
「いつお迎えが来てもいい」とか「早くお迎えが来てほしい」と話されている高齢者の方でも、こちらが「死」を話題にすると「縁起でもない…!」とご立腹されることがほとんどです。
多くの人にとっては、健康な自分には関係ないと考えたい、できれば先延ばしにしたいという気持ちがあるからでしょう。
しかし、実際その時が来たら考えられるのかというと、今度は死を受け止められず、考えたくない、考えられない、相談できないという状況に陥ってしまうケースがほとんどなのです。
※「死」に対してどう向き合うかはとても難しい問題です。こちらもでも同じような問題を取り上げているのでチェックしてみてください。→尊厳死とは ~あなたは延命措置と尊厳死、どちらを選びますか?
▶ 次ページへ:アドバンス・ケア・プランニングのポイントとは??
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