アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の課題 ~患者さん・医療者、両方の視点から考察します~

 

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは、将来の意思決定能力の低下に備えて、患者さまやそのご家族とケア全体の目標や具体的な治療・療養について話し合う課程(プロセス)とされています。

※詳細はこちらの記事へ!→アドバンス・ケア・プランニングとは ~患者さん・ご家族にとっても納得いく治療をするための取り組み~

アドバンス・ケア・プランニングで重要視される「個人の意思の尊重」はとても大切なことですが、アドバンス・ケア・プランニングを実際に行うにはいくつかの課題が見られるのが現状です。

今回はアドバンス・ケア・プランニングの課題について、患者さんサイド・医療者サイドの両方の視点からお伝えしていきます。

 

アドバンス・ケア・プランニング、課題

画像出典:asyouwishvirginia.org

 

アドバンス・ケア・プランニングの課題 患者さんサイド

 

【アドバンス・ケア・プランニングの課題①】日本人の死生観

 

それでは患者さんサイドで見ていきましょう。

まず真っ先に挙げられるのは、日本人の死生観です。

「死」を連想することに対して、「縁起が悪い」と言う風習があり、死に対することに対して考える機会が少ないことは大きな問題です。

死を考える上では、いろんな宗教が死後の世界を紐解き、その教えを布教しているわけですが、日本人は信仰心が薄いと言われています。

それゆえに、「死=怖い」という観点から、いつか考えなくてはいけないが、まだ元気だからと先延ばしにしてしまう傾向があるのではないかと考えます。

現代は少子化が進み、超高齢社会となりました。

核家族世帯が増え、身近で死んでいく人を見ていない人も多いでしょう。

このような社会には、もっと幼少期の頃から自分の死生観を持ってもらうための教育・考える機会を設ける必要があるのではないかと思います。

※「死」に対してどう向き合うかはとても難しい問題です。こちらもでも同じような問題を取り上げているのでチェックしてみてください。→尊厳死とは ~あなたは延命措置と尊厳死、どちらを選びますか?

 

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画像出典:redbookmag.com

 

【アドバンス・ケア・プランニングの課題②】家族でないと同意書のサインが取れない

 

最近、エンディングノートや遺言書の書き方の著書を書店で見かけます。

前述したように超高齢者社会となったことが背景にあるのでしょうが、つまり独居の高齢者や一人っ子が増えているということです。

自分の意思決定の代理人になってくれる方が家族でない場合も、今後たくさん出てくる可能性があります。

しかし、現在では家族でないと同意書のサインもできなければ、病状を聞くことさえできない状況なのです。

これについてもしっかりとした検討が必要です。

▶ 次ページへ:医療者サイドのアドバンス・ケア・プランニングの課題とは??

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