以前の記事でもご紹介しましたが、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)は日本でどんどん普及してきています。
※日本でのACPの取り組みについてはこちらへ!→ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の日本での取り組みとは〜患者さん希望に沿ったケアを行なうことができていますか?〜
しかし、ACPはもともと海外で始まった考え方です。
では、海外ではどのようなACPの実践がなされているのでしょうか?
今回は海外でのACPの取り組み事例についてお伝えしていきたいと思います。
※そもそもACPって何?という方はこちらへ!→アドバンス・ケア・プランニングとは ~患者さん・ご家族にとっても納得いく治療をするための取り組み~
画像出典:polki.pl
海外でのACPの取り組み
【海外でのACPの取り組み①】英国の「望ましいケアの優先事項(PPC)」
英国では「望ましいケアの優先事項(PPC)」というツールが知られています。
患者さん自身が望むこと・望まないことを記したり、自分に代わって意思決定をしてほしい代理人の連絡先を書く項目などがあります。
2007年、NHSの終末期医療プログラムに組み込まれ、2008年に策足された国の終末期国家戦略でも推奨されていて、将来の終末期医療の計画を立てたい人は誰でも、このツールを使用することができます。
【海外でのACPの取り組み②】米国やカナダなど諸外国
米国やカナダでは、ACPのツールとして、「選択の自由の尊重」「五つの願い」「私に決めさせて」といったさまざまなプログラムが開発され、活用されています。
内容は似通っていますが、例えば「五つの願い」では
- 1.私が意思決定をできなくなったときに、私に代わっる意思決定をしてほしい人
- 2.私が受けたい、あるいは受けたくない医療行為
- 3.私が心地よく過ごすためにしてほしいこと
- 4.私が人々に求める介護やケア
- 5.私が愛する人々に知ってもらいたいこと
といった項目に答えます。
上記3つのプログラム以外にも、米国ではポルスト(生命維持治療に関する医師の指示)という終末期医療に関する医師の指示も活用されています。
画像出典:twitter.com
【海外でのACPの取り組み③】オーストラリアにおけるACPの事例
2012年10月19日付けの朝日新聞『患者の意思決定を支える~事前医療・ケア計画~』によりますと、
末期のすい臓がんが見つかる1年ほど前、フィリスさん(86歳)は、自分が末期状態になったとき、体の外から管を使って栄養を補給したり、人工呼吸器を装着したりすることを望まないといった希望を書面にしていました。
このこと、フィリスさんは病院の看護師と1時間半にわたって話し合い、書面を作っていました。
娘のフェイさん(63歳)もそれを理解していて、フィリスさんにすい臓がんが見つかった後、考えに変化がないかを確認していました。
その結果、いよいよフィリスさんが危篤状態になって、病院から蘇生をするかどうかたずねられたとき、フェイさんは「蘇生は不要」と迷わず判断することができたのです。
この事例からは、フィリスさんが自分の治療について、自分の決断に従って、決めることができたというだけではなく、その決断に至る価値観、人生観を含めて、医療従事者やフェイさんら家族とじっくり話し合った結果、フィリスさんの意思が共有されたと言えると思います。
と掲載されていました。
▶ 次ページへ:海外のACPにおける具体的な調査結果とは??
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