「胃ろう」についてご存知でしょうか。
胃ろうとはペグ(PEG:percutaneous endoscopic gastrostomy/経皮内視鏡的胃瘻造設術)とも言われ、胃に穴を開け、カテーテルを通し直接栄養を送りこむものです。
口から栄養を摂取できなくなると、栄養状態が不良となり全身状態の低下につながるため、栄養補給を目的として経口摂取のかわりに行う方法です。
今回の記事では、この胃ろうの適応やメリット・デメリットについてまとめていきたいと思います。
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胃ろうの適応とは?
胃ろうの適応とは、ある一定の条件を満たした患者さんのみが胃ろうの手術を行えると判断することであり、もし条件を満たさないようであれば、不適応となります。
では、その胃ろうの適応基準にはどのようなものがあるのでしょうか。
胃ろうの適応基準とは?
- ・PEGに耐えられる全身状態である
- ・必要な栄養を自発的に摂取できない
- ・正常な消化管機能を有している
- ・4週間以上の生命予後が見込まれる成人及び小児
- ・PEGが最も適したルート造設法である
PEGの適応については医学的側面と倫理的側面で考慮していく必要があります。
医学的側面としては、生命予後( 病気・手術などの経過において、生命が維持できるかどうかについての予測)、PEGが安全に施行できて経管栄養の効果が期待できることです。
具体的には、PEGに耐えられる全身状態か、栄養方法として適当かということが挙げられます。
倫理的側面としては、患者がPEGを望むか否かということです。
PEGの適応を決めるにあたり、脳血管疾患や認知症などにより患者本人の意思を確認することが難しいことが多いため、倫理面に十分配慮することが求められるでしょう。
胃ろうのメリットとは
胃ろうのメリットとしては次のようなものが挙げられます。
- ・誤嚥による肺炎が少なくなり、栄養状態が改善することが多い
- ・経鼻経管栄養よりも長期の栄養管理に適しており、鼻からチューブを挿入する負担や苦痛が少なく済む
- ・経鼻経管栄養の場合は顔にチューブがあるため違和感が強く自己抜去のリスクが非常に高いが、胃ろうの場合は自己抜去のリスクがやや少ない
- ・喉にチューブがないため、嚥下訓練が行いやすい
胃ろうは、経鼻経管栄養において鼻に器具をつけるのは鬱陶しいという患者さんには向いているのではないでしょうか。
ほかにも以上のようなメリットがありますので、胃ろうのご検討をなされている方は、担当医の方に相談してみてくださいね。
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