海外のACPにおける具体的な調査結果
ACPを導入の効果
2012年10月19日付けの朝日新聞『患者の意思決定を支える~事前医療・ケア計画~』では
オーストラリアの判断能力のある80歳以上の入院患者を対象とした調査ではACPを通常のケアに取り入れた集団では、終末期の希望が尊重された割合は86%、取り入れなかった集団では30%しか尊重されなかったという結果になっています。
また、遺族の満足度でみても、満足している人はACPを通常のケアに取り入れた集団の90%が満足していたのに対し、取り入れない集団では78%にとどまっています。
とあります。
やはり患者さんとそのご家族の希望を守るためには、ACPを導入するべきだと言えるでしょう。
画像出典:aapc.com
委任状を作っても実際は話し合われていない…?
一方、あまり芳しくない調査結果もあります。
ACPでは患者さん自身が意思決定を行えなくなったときに備えて、委任状を出すことがあります。
アメリカのジョンズホプキンス大学が行ったがん患者の遺族を対象とした質問調査から、興味深い結果が出ました。
それは、ACPによって代理人認定を行う患者数が12年間で40パーセントに増加しているにも関わらず、
1.亡くなる数週間前に積極的治療を受ける患者の割合に影響がなかった
2.調査に応じた代理人の40パーセントが「故人と終末期ケアに対する希望について話し合わなかった」
と答えたそうです。
ACPを導入したからといって、終末期ケアについてしっかり話し合えるとは限らないようですね。
海外でのACPの取り組み事例とは まとめ
いかがでしょうか。
海外でも様々な形でACPは実施されているようですが、ACPを効果的に行うのは簡単ではないようですね。
※ACPの課題について気になった方はこちらへ!→アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の課題 ~患者さん・医療者、両方の視点から考察します~
※参考
・https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tyojyu-shakai/pdf/fivewishesjapanese.pdf
・http://www.asahi.com/apital/articles/SDI201511303804.html
・https://www.cancerit.jp/34801.html
【PR】
看護師の転職を考えている方は
こちらがオススメです♪
この記事はいかがでしたか? ・週一回なら、まぁ見てもいいかな♪ といった方は是非ご登録をお願いします!!
下記リンクからの無料会員登録で、 メルマガ受け取り@毎週土曜日 診療報酬改定まとめ資料受け取り などが可能になります!! (もちろん、わずらわしい情報は一切お送りしませんよ♪)
|
☆関連お役立ち情報☆ |
・生前に自分の意思表明をする「事前指示」の論点とは ~アドバンスケアプランニングの一助として~ ・ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の日本での取り組みとは〜患者さん希望に沿ったケアを行なうことができていますか?〜 |
☆おすすめのまとめ記事☆ |
・【看護師スキルアップ術まとめ20選】3種の看護スキルでQOLを最大化! |
★ここまでで分からない用語はありませんでしたか? そんな方は・・・
関連する記事
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の日本での取り組みとは〜患者さん希望に沿ったケアを行なうことができていますか?〜
『高齢者が残された時間を活用して、どういう人生を送りたいのか』、『何が人生の目標なのか』、『どのように良い死を迎えたいのか』といった人間の根源的な問いに答えるACPの重要性が高まってきています。今回は日本でACPについてどのような取り組みが行われているかをご紹介させていただきます。
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の課題 ~患者さん・医療者、両方の視点から考察します~
アドバンス・ケア・プランニングで重要視される「個人の意思の尊重」はとても大切なことです。しかし、実際に行うにはいくつかの課題が見られるのが現状で、今回はその課題についてお伝えしていきます。
アドバンス・ケア・プランニングとは ~患者さん・ご家族にとっても納得いく治療をするための取り組み~
患者さん自身が意思決定を行えない時、どのような治療方針で進めていくべきかわからず悩む。そのような事態をなくすために、アドバンス・ケア・プランニングに取り組む必要があります。
日本と海外での尊厳死・安楽死の認識の違い ex.スイスで自殺幇助が許されるワケ
現在、安楽死が認められている国はスイス、オランダ、ベルギーやアメリカの一部の州となっています。 これは現在日本が国家として承認している196カ国から見ると、きわめて少ないように感じられるかもしれません。 今回は安楽死について、日本と外国とではどのようなとらえ方の違いがあるのかを見ていきましょう。
看護師がホスピスで働くということ〜最期まで自分らしく生きる為のサポートとは〜
『ホスピス=死を迎える場所』という認識の方が多く、看護師の方でも特別な意識を持つ方が多くいます。しかし、『死=絶望』ではありません。ホスピスは「死ぬまで自分らしく生きられるようにサポートするケア」なのです。今回はホスピスで働くことの意義、今後について体験談を交えてご紹介させていただきます。