「失語症」の方とのコミュニケーションの方法
様々なタイプのある失語症の患者さんですが、日々の看護ケアの中ではどういった点に気をつけたら良いのでしょうか?
コミュニケーションの基本事項の他、特に気をつけるポイントを挙げておきます!
基本はゆっくりはっきりと目を合わせて
日々のやりとりの中で目指すのは、お互いにスムーズなコミュニケーションです。
「失語症」の方と関わるための、基本的な事柄を以下に挙げてみます。
- ・注意をひいてから話す
- ・ゆっくりはっきり短い文で話す。
- ・先回りしないで待つ
- ・話題を急に変えない
- ・「はい」「いいえ」で答えられる質問をする
- ・用意された言葉から選んでもらう(例:明日の朝ごはんは ご飯?パン?)
- ・文字や絵を同時に提示する
- ・表情や身振りもつける
など…。
基本的には、「ゆっくり、はっきりと声をかけ、焦らずゆったりと会話する」ことが望ましいでしょう。
ゆっくり話すということは一音ずつ区切るのではありません。
簡潔にまとまった内容を話すよう心がけましょう!
失語症の方の尊厳に配慮する
言葉がうまく出てこない、伝えられないという「失語症」は誤解されやすいものです。
「失語症」の方は理解されず、伝わらないというもどかしさから抑うつ状態になることも。
ただ、失語症の他に目立った合併症がなければ、病前の記憶や、対人面での礼儀といった社会性も保たれています。
それぞれの人生を生きてこられたプライドも持っています。
個々の背景や現在の心理面に配慮しながら、関わっていくことが必要です。
画像出典;direktno.hr
実は平仮名より漢字がわかりやすいことが多い!
失語症の方は、平仮名よりも漢字のほうが比較的理解しやすいものです。
伝わるようにと気をつかい平仮名にしたら、逆効果ということがありますので注意!
平仮名のほか、簡単な絵を描いて伝えたり、実物を見せて選んでもらうなどの方法も通じ合うきっかけになります。
また、言葉が出てこなくても、写真を見ながら会話をしたら、出やすくなったということもあります。
失語症のリハビリは言語聴覚士(ST)が行っている
失語症のリハビリテーションを担当するのは「言語聴覚士(ST)」です。
言語聴覚士(ST)は患者さんの失語症の状態を評価し、改善のための訓練をします。
そして、その訓練内容から日常生活に活かせる工夫も考えています。
もし、患者さんに言語聴覚士(ST)が関わっているなら、日頃の看護ケアで困っていることについて相談してみましょう。
「失語症」の方との看護(コミュニケーション)方法 まとめ
「失語症」は誤解されやすい言語コミュニケーション障害のひとつです。
脳の損傷部位や年齢によっても重症度や失語症のパターンは異なります。
看護師の方は情報を適宜収集し、患者さんの尊厳に配慮した関わり方をしていきましょう!
参考出典:
・地域ST連絡会失語症会話パートナー養成部会編(2004)『失語症の人と話そう―失語症の理解と豊かなコミュニケーションのために』、中央法規
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