クリニカルパスは非常に有用なツールですが、その本来の目的やメリットデメリットを皆さんはご存知ですか?
日々医療現場で我々が使用しているクリニカルパスの必要性について、メリットとデメリットを比較を通して論じていきたいと思います。
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画像出典:blog-sedori.com
クリニカルパスとは?
クリニカルパスとは、治療や検査の標準的な経過を説明するため、入院中の予定をスケジュール表のようにまとめた入院診療計画書のことを指します。
そして、基本的な目的は、「標準化」にあります。
複雑な診療行為を入院から退院までのスケジュールとしてその枠組みを作ることにより、標準的な診療計画を定め、その工程を管理、統一することで、最終的に医療の質を向上することがクリニカルパスの役目です。
具体的には、入院から退院までのスケジュール(入院日数)を決め、無駄な医療行為を省き(医療費削減)、業務を効率化するということです。
このクリニカルパスの使用はDPC制度の導入に伴い、日本国内でも急速に普及しました。
DPC病院では、クリニカルパスなしには成立しないと言われるくらいに管理、活用されている場合が多いです。
極端に言えばクリニカルパスに当てはまらない疾患では入院できないというくらい、クリニカルパスでの管理が徹底されているのです。
画像出典:slate.com
クリニカルパスのメリットと活用法
クリティカルパスのメリットとは?
クリニカルパスをうまく活用し、運用できれば、「国」「病院」「患者」「医療従事者」すべてにおいてメリットがあると考えることができます。
たとえば、下記のようなものが挙げられます。
- ・業務を標準化することにより、複雑な手間が省略でき、安全面が向上する
- ・業務効率が向上することにより、看護を実践する時間が増える
- ・患者さんにとって、事前にプランが決まっていることで、退院後の生活プランが計画しやすい
- ・病院にとっては在院日数のコントロールがしやすくなり、また標準化することで不必要なコストを抑えることにもなる
ただし、上記のようなメリットを最大化するためには、制度をうまく活用し、運用することが非常に重要です。
うまく運用できていなければ、逆に効率を下げたり、安全性が低下する事態にもつながります。
様々なメリットはあるものの、このような危険も潜んでいるものであるということも覚えておきましょう。
クリニカルパスの活用にあたって ~デメリットの勘案~
それでは、クリニカルパスの運用に際して、どのような点に注意を払えばよいのでしょうか?
クリニカルパスの使用においては、業務効率が上がり、看護の質が向上を目指すというのが理想的な運用成功のパターン。
しかし、クリニカルパスの導入局面では、アセスメント力、タイムマネジメント能力など、様々な面でデメリットもあるのではないかと言われています。
つまり、「事前に決められたクリニカルパスのままでも業務は遂行できますが、それだけになっていないか?」という点に注意を払う必要があるのです。
クリニカルパス+看護が融合して、初めて看護の質の向上につながります。
具体的には、クリニカルパスは全てをスケジュール化されて、看護計画の立案までされていることが多いため、クリニカルパスが看護を一連の業務に変えてしまう可能性があると言えます。
そこで重要になるのが、一連の業務と化してしまうデメリットに対して看護師としてどのように対処していくかということ。
そしてその結果が看護の質の向上につながれば、クリニカルパスがうまく活用できていると評価できるのです。
まとめ ~クリニカルパスを知っておく必要性~
クリニカルパスは、看護の質を向上させるための大きな「武器」です。
しかしその武器を上手く使えないと、危険なものにもなってしまうのです。
看護師が向き合うのは「患者さん」であり、「命」です。
それらを標準化することはできませんし、クリニカルパスだけでは看護を展開していることにはなりません。
なぜこのようにクリニカルパスの内容が決められているのかとぜひ考えてみてください。そこには必ず理由があるはずです。
それに加えて、患者さんと向き合い、患者さんにあった看護をアセスメントし、実践する。それが看護の質を高めることにつながるのです。
クリニカルパスの最終目的である「医療の質を向上する」事を達成するためには、クリニカルパスの本質、目的をしっかりと理解し、クリニカルパスを上手く活用することが必要ではないでしょうか?
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