現在、安楽死が認められている国はスイス、オランダ、ベルギーやアメリカの一部の州となっています。
これは現在日本が国家として承認している196カ国から見ると、きわめて少ないように感じられるかもしれません。
今回は安楽死について、日本と外国とではどのようなとらえ方の違いがあるのかを見ていきましょう。
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安楽死、それとも尊厳死?国によって違う認識と呼ばれ方
日本とアメリカでの「安楽死」、「尊厳死」とは
日本での「安楽死」は、医師が投薬などの方法を用いて患者を死に至らしめることが一般的な認識です。
しかしアメリカでは、日本での安楽死という行為は「尊厳死」と呼ばれています。
州によって多少の違いがありますが、その理由は医師が致死薬を処方・提供することによる自殺幇助も尊厳死に含まれているからです。
アメリカでは、
医師が処方した致死薬を飲んで死にゆくこと=自殺幇助≒尊厳が守られた本人の望む死
という関係があり、尊厳死の解釈となっています。
日本とアメリカの「死」への認識の違い
アメリカで医師による自殺幇助が尊厳死として認められることは、日本での医療における意思決定や、文化そのものの違いから、我々日本人が簡単に受け入れられるものではないのかもしれません。
さらに、尊厳死にとって最も大切な「自己決定権」においても、個人の自由と自己決定権が保証されているアメリカとは異なり、日本では本人の決定権に家族や社会との関係が色濃く、まだアメリカ程に「自己決定権」が主張出来ないという背景もあります。
*参考記事 日本臨床倫理学会 アメリカにおける尊厳死法について
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