看取りにおける看護計画を立てるポイントとは
看護計画はアセスメントに基づいて各個人に合わせたものをつくる
まもなく死を迎えるという患者が看取りの段階に入ったとき、その病状や精神状態は言わずもがな各個人で異なっています。
まず、その患者や家族について看護師の視点から十分にアセスメント(評価、見立て)を行うことが、今後の具体的な援助方法に繋がっていきます。
看護師が対象の方の最期に寄り添い十分な援助を行うために、看護計画は大きなポイントとなります。
患者本人または家族の同意を得ながら作成することの大切さ
医師からの説明を受け一度は同意をしているはずですが、心理的に揺らいでいる人もいます。
すべての確認事項において本人や家族の精神的苦痛に配慮していくことが必要でしょう。
また本人と家族の間の中で、また兄弟姉妹といった家族間で合意がとられているかも大事な確認事項となります。
中には家族間で十分な合意に至っていない場合もあるため、焦らずにしっかりと話をきき必要な場合は説明を行いながら、本人や家族の意思を引き出していくことが大切です。
また、看取りの段階では、回復を見込んだ積極的な治療ではなく、できるだけ痛みや苦痛を緩和する医療を行います。
その際、どういった医療を希望するかについても事前に確認をしておきます。
また、最期をどこで迎えるか、ホスピスや施設、在宅などの希望についても確認し、その際に対応するスタッフについても確認を行っておく必要があります。
このような看護計画の作成のプロセスの中で、本人や家族とともに少しずつ整理をしていくことになります。
病状やADL能力について把握する
現在の病状や食事や入浴といった生活上必要なADL能力についての状態を把握します。
最後まで身の回りのことを自分で行いたい、外出したいなどの患者本人の希望を叶える際の援助方法を考える根拠となります。
広い意味での「苦痛」について把握し、緩和の方法を模索する
身体的な苦痛以外にも、人はさまざまな不安や心配事に囲まれています。
身体的な痛み以外の苦痛も含めてトータルペイン(全人的痛み)と言います。
原因がどうであれ不快な情動体験として示されたもの全てのこととされ4つの側面が考えられています。
1つ目.身体的苦痛
身体的苦痛は痛みやだるさ、薬による副作用などです。
2つ目.精神的苦痛
精神的苦痛は死に対する不安感、恐怖感、無力感や孤独感などがあたります。
3つ目社会的苦痛
社会的苦痛は、患者本人が社会で果たしてきた役割の喪失、経済的問題、また家族間の問題などを言います。
4つ目.霊的苦痛(スピリチュアルペイン)
スピリチュアルペインは、患者本人が自身の人生に対する自責、人生の意味や苦しみの意味、死生観などがあたります。
対象となる方の一部分に着目しすぎるのではなく、トータルにみて具体的な援助方法を模索していきます。
看取りにおける看護計画の重要性〜まとめ〜
いかがでしたでしょうか?
いかに本人や家族の意思を反映するか、身体的な苦痛にだけではない広い意味での「痛み」をとらえる必要があります。
看取りにあたっての看護計画は、看護師がこれからどのようにケアしていくかの指針になるものです。
患者さん、ご家族の寄り添う気持ちを行動に起こす為に必要な考えなので、この機会に見つめ直してみませんか?
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