訪問看護師に求められることはなんでしょうか?
在宅で自分らしい生活が継続できるように、本人の気持ちを大切にしながら、家族の負担も軽減し、お互いがストレスなく生活できるようにサポートすることです。
そのためには具体的にどのようなスキルが必要とされるのか。
そのスキルを磨くためには現場に出るほかなく、病棟勤務中には出来ないのか。
こうした疑問に答えるべく、
現在訪問看護に従事する立場として、病棟勤務中に出来る訪問看護師としてのスキルアップ方法を5つまとめてみました!
画像出典:moa04.artoo.nl
本記事の目次
【訪問看護師のスキルアップ術1】 健康チェックについて
訪問看護師として必要なスキル:「観察力」
体温、脈拍、呼吸、血圧の測定は病棟勤務中に毎日行うことですが、訪問看護の際にも訪問時に毎回測定します。
病棟では調子が悪そうであれば、再チェックなど容易にできますが、訪問看護では度々訪問することは困難です。
そのため、フィジカルアセスメントができるように観察力を身につける必要があります。
「観察力」を養うための具体的な方法:「正常」の理解
具体的にはどのようにしたら良いのかですが、まずは「正常を理解すること」が大事です。
正常がわからないと異常は発見できません。
体系や年齢によっても正常値が変わってくることもありますし、疾患によっても違うということを理解しておかれると良いでしょう。
病棟勤務中では同じ疾患でもいろいろな年齢の方がおられ、また経過も違います。
それを一つひとつ検証してみたりしながら、同じ疾患でも起こる症状や経過の異なる理由などを日々考えながら勤務に就かれることで、早期に異常が発見できる観察力が養えると思います。
【訪問看護師のスキルアップ術2】 日常生活の看護について
訪問看護師として必要なスキルその1:限定された環境での介助術
病棟勤務では助手さんがおられ、入浴、排泄、食事の介助は直接携わることは少ないかもしれませんが、
入浴介助に関して、訪問看護では病状の程度により、ヘルパーさんではなく訪問看護師が入浴介助することも多いです。
一般的に重度の患者さんの入浴介助をするので、手際よくまた苦痛なく、そして快適にを考えて入浴介助をしなければなりません。
病棟のように、病棟の備品を使用することもできません。
全て患者さんの自宅にあるものを継使用させてもらうのです。
本人の安全にも十分注意が必要ですが、家族の負担にも配慮が必要です。
また、浴室も自宅の浴室を使用するので環境も違います。
すなわち、「機転を利かせる力」が必要になります。
限られた環境の中で効率的かつ快適に入浴していただくためには、どのようにすれば良いのかを病棟勤務中の体験しておかれると良いでしょう。
訪問看護師として必要なスキルその2:誤嚥予防
また、食事介助についてはご家族が対応されることが多いと思います。
そのため、誤嚥しないように(ご家族・ご本人への)指導が必要になります。
食事を摂取する際の体位はどの体位が良いのか、ベッド上端座位ができればギャッジを使って座位より食べやすいこともあります。
また、水分等でむせることがあれば、とろみを添加するなどの方法を取る必要もあります。
さらに、最初に氷などで口腔内をアイシングするとむせずに食べられるとも言われています。
病棟ではあまり食事がうまく摂取できないとすぐに点滴治療ができますが、在宅ではそういうわけにはいきません。
安全に食事ができるようにアドバイスする必要があります。
そのためには嚥下機能や嚥下訓練の知識、技術が必要になります。
【訪問看護師のスキルアップ術3】 整容について
訪問看護師として必要なスキルその1:かみそり
病棟では整容についても助手さんにお任せすることが多いと思います。
在宅でも家族が行うことが多いかもしれませんが、独居の方で髭剃りを自分でできない方は電動ひげそりでは剃れず、かみそりで剃らなければ剃れないこともあります。
介護保険サービスでは入浴サービスを提供してくれますが、かみそりでの髭剃りはしていません。
女性の方は髭剃りする習慣はありませんので、病棟勤務中にぜひ機会を作って経験を重ねていると良いと思います。
訪問看護師として必要なスキルその2:爪切り
また、高齢者の爪切りも爪が硬くなっており、普通の爪切りで爪を切るのは大変です。
ニッパーという器具で切ることと硬い爪でもうまく切れますが、このニッパーも使い慣れないとなかなか怖くて切れないものです。
ひとつひとつの整容についても、病棟勤務中にワザを磨いてほしいと思います。
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【訪問看護師のスキルアップ術4】 医療行為・医療機器の管理
訪問看護師として必要なスキル:家族に説明する力
在宅看護では、膀胱留置カテーテルやEDチューブなど、いろいろと管理の必要なチューブ類を留置していることが多いです。
また、人工呼吸器を使用していることもあったり、喀痰の吸引が必要な場合もあります。
手技を極めることも大事ですが、家族に説明する力も求められます。
自分でしっかりと理解ができていないと説明することはできません。
エビデンスを意識しながら、病棟での経験をつみ、どんな状況が起こっても対応ができるようにしておいてほしいと思います。
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【訪問看護師のスキルアップ術5】 精神的ケア・コミュニケーションケア
訪問看護師として必要なスキル:家族に説明する力
一般病棟勤務中では、こなす内容の業務が多くて患者さんのベッドサイドでゆっくり話を聞く時間はないと思いますが、在宅看護では患者さんは一人だけでナースコールが鳴ることもありません。
ゆっくりと話しを聞くことができます。
訪問看護ではいろんな病気の患者さんと携わることになります。
精神疾患の患者さんもいらっしゃいますし、終末期の患者さんもいらっしゃるでしょう。
その患者さんにはコミュニケーションケアが重要になります。
ただ話を聞く、一緒に共感するなど、あなたの一言で病気が好転することも悪化することもあるということを理解して、
ぜひ病棟勤務中、いろんな患者さんに寄りそってコミュニケーション能力をつけてほしいと思います。
病棟勤務でも出来る訪問看護師のスキルアップ術 まとめ
病棟勤務での経験は、すべて訪問看護師として働く時の財産になります。
引き出しが多ければ多いほど、どんな環境であっても、どんなニーズにも答えることができます。
在宅では、病気を管理するという意識ではなく、その人らしい人生が送れるということを大切にしていくことを忘れてはなりません。
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