携帯型の輸液ポンプが利用できるようになってから、在宅での輸液管理がスムーズに行えるようになり、経口、経管栄養法ができない患者さんでも在宅での療養が可能となりました。
患者さんにとっては、持続点滴をしていても在宅で過ごせるということはとても良いことかと思います。
その反面、介護をする家族にとっては手技を覚えなくてはいけませんので、負担になることもあるでしょう。
したがって、看護師が患者さんの状態の観察に加えて家族への指導・援助をすることが重要となっています。
そこで今回は、在宅中心静脈栄養法(HPN:Home Parenteral Nutrition)のポイントについてまとめてみました!
画像出典:bsna.co.uk
在宅中心静脈栄養法(HPN)の目的、実施の前提条件
在宅中心静脈栄養法の目的
医療法人社団三育会による「在宅中心静脈栄養法(HPN)の手引き」によれば、在宅中心静脈栄養法の目的は次のように記されています。
在宅で適切な栄養量を注入して栄養状態を維持・改善し、栄養維持を目的とした入院をなくし、家庭や社会復帰を可能にして患者さんと家族のQOL(クオリティオブライフ、生活の質)を向上させることです。
つまり、これまでは不可能だった在宅という選択肢を広げるための技術だということです。
在宅中心静脈栄養法実施のための3つの前提条件
同じく「在宅中心静脈栄養法(HPN)の手引き」では、前提条件について次のように記されています。
①患者さんが入院治療を必要とせずに病状が安定しており、HPN実施で生活の質向上がめざせる場合
②HPN実施にあたり、院内外を含む管理・連携体制が整備されている場合
③患者さんと家族がHPNの必要性をよく認識して希望し、輸液調製が問題なくでき、注入管理が安全に行えて合併症発生の危険が少ない場合
要は、「患者さんの病状」「処置体制」「患者さん・家族の認識」のすべての条件が揃っていることが必要とされるのです。
在宅中心静脈栄養法とは ~その種類について~
では、在宅中心静脈栄養法とは具体的に何でしょうか?
文字通りに言えば、「在宅で中心静脈を介して栄養を注入する方法のこと」をいいます。
もう少しかみ砕いて言えば、食べ物を口から摂取できない場合などに、カテーテルを通して栄養を補給するということです。
※ちなみに、これを「中心静脈栄養法(TPN:Total Patrenteral Nutrition)」と言います。
在宅中心静脈栄養法には大きく、「体外式カテーテル法」と、皮膚の下に埋め込んだカテーテルから行う「皮下埋め込み式カテーテル法」があります。
画像出典:在宅中心静脈栄養法(HPN)の手引き
体外式カテーテル法
カテーテルを鎖骨下静脈穿刺法や外頸静脈切開法によって刺入し、その先端を中心静脈に設置する方法です。
埋め込み式カテーテル法
一般的に埋め込む場所は自己管理がしやすく、安定した場所である前胸部となっています。
リザーバー(ポート)がついた完全皮下埋め込み式カテーテルを使用し、リザーバーに専用の針を刺入し、それを輸液回路に接続して栄養輸液剤を注入します。
経験上、比較的管理のしやすい「埋め込み式カテーテル法」を選択されている方が多いです。
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