本記事の目次
ちょっと変わった幼児園での看護
――それで仕事をする時間が出来て、といった形でしょうか。
そうですね。
Kukuruを立ち上げる直前のことですが、その時にはバイリンガル幼児園の看護師として働いていました。
またここが変な会社で、園長先生が次々辞めちゃうんです。
――ええ!?
もう本当に合わなくて。職員も暴動起こすわで、すごく大変でした。
ただ、私はオーナーの気持ちも若干分かりましたし、一方で、職員の気持ちも分かりました。
私は最初の頃は看護師として入っており、クラスを担当する形で業務を行っていました。
しかし、あまりにも園が不安定すぎて、私はこっちの事務方の仕事もしなきゃいけなくなりました。
そうして途中からはクラスには入らず、単独職の看護師として動くようになりました。
もう、事務長兼園長代理兼看護師みたいな感じです。笑
そこで、就職の求人のサイトの業者さんとの打ち合わせ、生徒さんへのお便り、見学に来た人の対応など、もうあらゆる業務を包括的に対応することになりました。
当時は嫌々行っていたのですが、今振り返れば本当にこの経験があったからこそ今の自分があると思えます。
並行してNPO法人フローレンス*という法人でも非常勤として勤務していたのですが、そのときに週に一回病児保育士へのブラッシュアップ研修というものを受け持っており、入会基準の策定や人材育成などに携わることができました。
* 認定NPO法人フローレンス:訪問型病児保育事業(フローレンスの病児保育)、小規模保育事業(おうち保育園)、障害児保育事業(障害児保育園ヘレン)、障害児保育事業などを展開するNPO法人
――そこで、非営利法人の運営経験を得られたんですね!
そうです!
別にそこを目指していたわけではないのですが、すごく繋がっていますよね。
――必要なスキルを経験として得て、きれいに線になっているという感じですよね。
そうですね、本当に無駄ではないと言いますか。
今だから言えるのでしょうが、若い時につらいことがあっても必ずいつかこれが強みに変わるといううのは本当に実感として思います。
これは大学の講義などでもよく言っていますが、本当にそうだと感じています。
「こういうことがやりたい」と思って、それを発言して、行動に移していると、勝手についてくるものだと思います。
レスパイトサービスのエピソード
――レスパイトサービスを始めてから、「自分で始めてよかったな」と思うエピソードはありますか?
たくさんあります。と言いますか、旅行は常にそうかもしれません。
旅行のサービスは実施するまで2~3か月あり、何度もメールや電話のやり取りをしてから当日を迎えるので、お互いに初めて会ったという感じがしません。
ただ、会った当初はやっぱり遠慮がどこかあって、本当に預けていいのかなと思っているのですが、こちらから「見ておきますので、トイレ行って来てください」とかお声掛けすると、その一言で、お母さんは「ああ、じゃあお願いします!」みたいなご返答をして下さったりします。
そういうことを言う私も私なのですが、それに素直に乗っかって、いなくなっちゃうお母さんたちの勇気もすごいなと思うんです。
呼吸器つけていたりするのに、「じゃあちょっと行ってきます!」とか言って下さると、すごく良かったなと思えます。
小さいことのように思えますが、それは子供が一歩踏み出すきっかけ――親ではなく、他人とだけでも過ごすことが出来る――になります。
旅行のサービスは、自分でやってて何ですが、本当にいいサービスだよなっていつも思うんです。笑
例えば、急に具合が悪くなってホテルに戻ってきたはいいものの、誰も手を手伝ってくれる人がいない場合。
利用者さんからうちに次のような電話が来るわけです。
「別の日しか頼んでなかったのですが、明日も来てくれますか?」
うちのスタッフは、「全然いいですよ!」なんて言って出ていきます。
知らない土地に来て、こういう場所やサービスがあるのと無いのとでは、安心感が全然違うと思っています。
この間も、小学生の兄妹がkukuruを利用してくれました。
お兄ちゃんが健常、妹が障害のある子で、普段は2人で一緒に遊ぶことはあまりなかった。
その兄妹が、ご両親、おばあちゃんと一緒に5人で海に行ったときのことです。
海水浴は私たち(kukuru)がやるからいいよと言うと、お父さんとお母さんは別行動をして、夫婦二人の時間を過ごされていました。
一方、妹ちゃんに関しては、私たちが「浮き棒」を使って一人で浮かしたりして一緒に遊んでいました。
すると、お兄ちゃんも来て、それを使って遊び始めて。
お兄ちゃんがその子を浮き棒を使って引っ張って二人で遊んでいるのを見た時に、もう、泣きそうになりました。
「本当だったらこんな風に兄妹で遊べてただろうに」「こういう機会がないと二人っきりで遊べなかっただろうな」とか。
そうした兄妹同士の体験の隣にいることが出来て、本当に良かったと思えたりします。
旅行は毎回毎回ドラマが生まれますね。
――そうしたドラマが生まれるのは、それまでのやり取りだけではなく、付き添っている時間も素晴らしいからなのでしょうね。
うちはアンケートを毎回書いてもらっているのですが、それがすごく私達の励みになっています。
もちろん旅行の後に亡くなってしまった人はいますが、具合が悪くなったときに沖縄に行ったときの写真を病院に飾っている方もいたり。
沖縄で過ごす時間を糧(かて)にではないですが、「この思い出があるから頑張れるんだ」と仰って頂けたり。
その理由を考えてみると、インタビューの初めの方でお話した通り、障がい者の方にとって、旅行は簡単なものではないということを改めて感じます。
私達とは全く違っていて、本当に「一生に一度」「最後」と思って来てる人がたくさんいるんです。
そこについては、こっちも真剣に受け止めて、真剣に取り組まないといけないよね、と。
――今のお話を聞いただけで、利用者さんの喜ぶ姿がありありと想像できるっという時点で、すごくいいサービスだと思います。
有難う御座います。
旅行(のレスパイトサービス)は、本当にいいと感じていただけると思います。
※次回は最終回! 「在宅の看護師が忘れてはいけないこととは?」という題にてお送りいたします!
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