佐藤代表が抱く、起業後一番の後悔とは
――起業してから一番の後悔や失敗について伺えれば幸いです。
一度、顧客と会社の関係を大きく壊してしまったことがありました。
あるスタッフが辞めることになった時のことです。
私たちは残されたスタッフで、そのスタッフが抱えていた全ての利用者さんを受け持つ必要が生じました。
しかし、どうしても受けきれないケースがあり、何名かは他のステーションさんにご依頼することになりました。
そこで、ある利用者さんに事情を説明し、「これから私どもが行くことが出来ないんです」
とお伝えしたところ、それに対して利用者さんのご家族が「じゃあえいるさんは、うちの親のことを助けてくれないんですね」とお答えになりました。
それで、私は気が動転してしまい、なんと答えたらよいのか分からず、「事実上そうなりますね」といったご回答をしてしまったのです・・・。
――なるほどですね・・・。
当然の結果なのですが、そのときにすごく関係を壊してしまいました。
せめて電話でも直接でも、「できる限りのことはお手伝いさせて頂きます」と伝えることができればよかったと今は思っています。
そこで気づいたのは、利用者さんの生活は、我々の訪問により支えられている部分があるということです。
もちろんそのつもりでご訪問している「つもり」でした。
しかし、受け入れたからには最後まで責任を持って何とかしなければならないという点について、自分の意識の甘さが現れた事象には違いありません。
それからは、一人一人の利用者さんたちに全力で関わる。
なにか不備があった場合にはすぐさま対応する。
これらを徹底しています。
これらは基本の「キ」のところではますが、経営者一年生として実体験でもってすごく勉強させて頂いたように思います。
初年度一年間で自分に残った最も大きなものはこの出来事でした。
ちょっとした「驕り(おごり)」ではないですが、(経営が)盛り上がってくると、本当に言い方は悪いのですが、「行ってあげている」という気持ちが出てきていた自分がいました。
その誤りを、この経験で気づくことができたといいますか、この事件があったおかげで、驕りの気持ちが出てきたときに「いや、ああいうことがあったじゃないか」と自分を制することが出来るようになったと思います。
「皆さんがいてこそ成り立っている」ということを本当の意味で学ぶことができました。
――それは全てのサービスにも当てはまりますよね。。。提供者からすれば100件あるうちの1件だけど、利用者からすると1分の1。
そうなんです。
たとえば、うちが初めての訪問看護になれば、他と比べられることもあります。
今考えれば、すごく成長させてもらえた出来事だったと思います。
(第1回:完)
※次回は、利用者が絶えない「えいる訪問看護ステーション」の経営手法について伺います!
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