実は明確(確実)な定義がない「急性期」という言葉。
医療提供体制に「改革」のメスが入っている現在、「急性期」あるいは「高度急性期」について改めて考えておくことは、非常に重要なことかと思います。
そこで本稿では、病床報告制度にも触れながら、「高度急性期とは」という論点に絞ってご説明致します。
急性期とは
医療用語でよく聞く「急性期」。実は、明確な定義はありません。
ロハスメディカルによれば、一応次のような定義が出来るとのこと。
患者の病態が不安定な状態から、治療によりある程度安定した状態に至るまで
また、「急性期病院」と言ったときにはどのような意味になるかと言えば、次のようなものです。(引用元)
急な病気や怪我、 持病の急性増悪などで重症で 緊急に治療が必要な状態である患者さんに対して、 入院や手術、検査などの高度で専門的な医療を行う病院
では、本稿の主題である「高度急性期」とはどのようなものなのでしょうか。
これを説明するためには、社会保障と税の一体改革(病床機能分化)や病床機能報告制度についてご説明しなければなりません。
※こちらについて詳しい記事:「病床機能分化とはなにか? 医療提供体制の変化を簡単におさらい♪」
病床機能分化・病床機能報告制度について
病床機能分化とは
平成23年12月22日の社会保障審議会医療部会で述べられた「医療提供体制の改革に関する意見」に端を発して設けられた制度方針が、「病床機能分化」になります。
病床機能分化は、「どの地域の患者も、その状態像に即した適切な医療を適切な場所で受けられることを目指すもの」であり、「『病院完結型』の医療から、地域全体で治し、支える『地域完結型』の医療への転換の一環」を行うものであると言われています。
下図が、その病床機能分化についてよく表した図になりますが、簡単に言えば、これまでごちゃごちゃになっていた病床機能を、主に「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つに分類することで「患者の疾患の状態に応じ良質かつ適切な医療が効率的に行われるよう」にするということです。
病床機能報告制度とは
病床報告病院は自院でどの病床機能を有するかを選択し、都道府県に対して報告する必要があります。
その際に必要なのが、病床機能報告制度になります。
画像出典:nichiiko.co.jp
高度急性期とは
基本的には上図の通りですが、改めて「高度急性期」の部分のみを抜き出してお示しします。
※参考文献:第12回病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会(PDF資料)
【高度急性期機能】
急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能
【高度急性期機能に該当すると考えられる病棟の例】
〇 特定機能病院において、急性期の患者に対して診療密度が特に高い医療を提供する病棟
〇 救命救急病棟、集中治療室、ハイケアユニット、新生児集中治療室、新生児治療回復室、小児集中治療室、総合周産期集中治療室であって、急性期の患者に対して診療密度が特に高い医療を提供する病棟