本記事の目次
【看取りのまとめ2】 看取りにおける看護師の業務内容と業務の流れ
ここでは看取りの具体的な業務内容と看取り実施における具体的な流れについてご紹介していきます♪
⑴本人に対する支援内容
【身体的ケア】
- バイタルサインの確認
- 療養環境の整備
- 清拭、入浴など保清
- 栄養と水分補給
- 口腔ケア
- スキンケア
- 排泄ケア
- 身体的苦痛の緩和
【精神的ケア】
- コミュニケーションケア
【医療処置】
- 医師の指示に基づいた処置(点滴、与薬など)
⑵ご家族に対する具体的な支援内容
- 専門職種へ相談しやすい環境を整えること
- ご家族の身体的、精神的負担への配慮
- 家族関係への支援
- ご家族の希望や心配事への対応
- グリーフケア
看護師の業務の流れ
看護師の業務内容1 看取りの開始時期
- 医師により一般的に認められている医学的知見から心身機能の障害や衰弱が著明で、明らかに回復不能な状態であること。
- 近い将来確実に死に至ることが差し迫っている状態と判断し、かつ、在宅での生活を強く望んでいる本人につき、医師あるいは状況に応じて訪問看護師により、患者さん本人とご家族にその判断内容を懇切丁寧に説明し、その人らしい看取りができるように計画を作成すること。
- 終末期を在宅で過ごすことに同意を得ること。
以上の3点が確認されれば、開始されます。
看護師の業務内容 2環境の整備
在宅での看取りを希望された場合で、かつ、人的・物的な支援が必要である場合は、
介護保険対象であれば、介護保険の申請を行いケアマネジャーを決め、療養に必要な在宅環境を整えます。
具体的には、ベッドの導入、生活動線の確保、介護力のサポートがあげられます。
看護師の業務内容3 看取りの実施
患者さん本人、ご家族が在宅での看取りを希望された場合、訪問看護師は医師による訪問看護指示書に基づき看護計画を作成します。
介護保険サービスの利用者には、ケアマネジャーが医師、訪問看護師、その他サービス提供事業者と共に居宅サービス等の計画を作成し、ご本人、ご家族に説明して同意を得ます。
これはサービス計画に基づき支援されますが、ご本人の状況は日々変化することもあり、その都度サービス提供事業者との連絡を密に行い、状況に応じて対応ができるように努めます。
また、その状態をご家族がどのように感じておられるのか等のご家族の身体面、精神面でのサポートが必要となります。
場合によっては、医師から病状の説明を受けてしっかり理解されているように見えても、テレビドラマにある臨終のイメージを持たれているご家族も多いのです。
毎回の訪問時に時間を十分に取り、ご本人、ご家族の話を傾聴する姿勢が大切です。
いつでも遠慮なく、ご家族が相談できる関係を構築することが大前提だと言えるでしょう。
看護師の業務内容4 お看取り後
在宅での看取りの場合、臨終の際に医師が立ち会えることはほとんどなく、呼吸が止まったことで連絡を受けることが多くあります。
時間的な問題からすぐに医師が死亡確認できない場合などもあります。その際の対応についての説明も必要となります。
在宅では病院のようにエンゼルケアは行わないことがほとんどです。
そのため、亡くなった後のことについても、きちんと理解されているかどうか確認しておかれると良いでしょう。
※エンゼルケアについては、こちらの記事を参照してください:「エンゼルケアとは?〜看護師が患者さんに関わる最期のケアです」
看取りにおける看護師の役割
最近、「最期まで施設で」という介護施設が増えています。
そして、最期を迎える場所として、ご本人やご家族も多くの方々が施設を選択されています。
当然のことながら、施設の種類によって、看護師に求められるものも少しずつ違っています。
ここでは、それぞれの施設における看護師の役割、施設ごとの違い、お看取りにおける役割の違いについてご説明していきます!
「介護老人福祉施設」で働く看護師の場合
介護老人福祉施設の場合、協力医療機関はあっても、医師が常駐していないため、看護師が患者さんの状態を把握し、状況を医師に伝えなければなりません。
また、夜間は看護師不在で自宅待機という施設が多いため、介護スタッフに対しての教育、指導も必要となります。
私の見解ですが、施設で勤務されている看護師さんはブランクのある方や業務経験が多く、看護技術にばらつきがあるように思います。
そのため、看護師の間にも共通認識が必要となってくるでしょう。
介護老人保健施設で働く看護師の場合
介護老人保健施設の施設長は医師です。
そのため日中は医師が常駐していますし、医師、看護師、介護士その他スタッフとご本人、ご家族とのケア会議などいつでも相談できる環境にあります。
また、看護師は24時間交代勤務で常駐していることも、本人、ご家族にとっても安心につながります。
しかし、介護老人福祉施設と同様に、介護スタッフに対しての教育、指導は必要でしょう。
有料老人ホームで働く看護師の場合
有料老人ホームの場合、介護老人福祉施設と同様、医師は常駐していません。
協力医療機関との連携を取りながらの看取りという形になります。
そのため、看護師が患者さんの状態を把握し、時には、患者さんの状態についてご家族に説明をしなければならない場合も出てきます。
施設で働く看護師にとって必要なことって?
施設の看護において具体的に必要なことはたとえば以下の4つです。
- ・必要に応じて医師との密な情報共有が図れる体制
- ・緊急時に備えて家族との連絡体制や連絡する順序も決めておくこと
- ・施設において看取り介護を実践するために、職員全員が方針を十分に理解しておくこと
- ・終末期における各方面における様々な対応に対して職員全員で共通理解を持つこと
以上、これら4点を充足するためには、看護師が中心となり連携を取る必要があるでしょう。
ただし、日常的に患者さんと過ごす時間が一番長いのは介護職員。
つまり、患者さんの身体状態の変化を敏感に察知することができるのは介護職員の場合が多いと考えられますので、その点は注意すべきです。
画像出典:italiaconcorsi.it
看取りにおける看護師の業務内容と業務の流れ まとめ
看取りに入る際に看護師に必要とされることは以下の三つになります。
- ・ケアカンファレンスを開催し、最期の時により豊かに過ごしてもらうために各職種の役割や関わり方、どのように連携するかの話し合いをすること
- ・特に「環境整備」「栄養・食事」「清潔」「排泄」「疼痛緩和」「精神的支援」などについて、ケア内容や方法、留意点、各職種の役割を明確にすること
- ・施設で提供可能な医療行為については事前に患者さん本人、ご家族に明快な説明をすること
施設での看取りにおいても、ご本人やご家族のご希望が変化することはあります。
病態によっては入院が必要になる場合もあります。
そのためにも、協力医療機関との連携は重要となってきます。
看取りに携わる看護師についてより様々な情報を知りたい方は下記に記事リンクが置いてありますので、こちらも参考にしてみてください♪
在宅でのターミナルケアの特徴と看護師の役割 ~看護師は家族・他職種との橋渡し~
在宅での看取り。訪問看護師の具体的業務内容から紐解くその重要性とは?
施設における看護師の役割って? 施設ごとの違い、お看取りにおける役割などを整理
▶ 次ページへ:【看取りのまとめ3】 看取りが抱える問題ー看取り難民とは?
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