エンゼルケアの目的とは〜最期のケアの本質に迫ります〜

医療機関でのエンゼルケアのポイント

 

医療機関で最期を迎えた患者さんに対して、我々看護師は最期の看護として「エンゼルケア」をおこないます。

患者さんを最期にふさわしい状態に整え、ご冥福をお祈りするとともに、感染予防対策としての意味も持っています。

英国では死後の処置についての感染対策マニュアルが定められており、その対策が徹底されています。

治療による注射痕や創部の処置をおこなうことにより、血液や浸出液の排出を防ぎ、綿などを使用して排出物の流出を防ぐことにより、感染の可能性のある物質との接触を防ぐとしています。

葬祭業者による「湯灌」やエンゼルケアが実施されることが多くなった現在においては、病院でのエンゼルケアに求められることは、むしろこの感染予防対策が大きなウェイトをしめていると言えるのかもしれません。

一般的におこなってきた死後の処置、エンゼルケアにおいても、いろいろな内容の変化が現れてきているため、家族の意向をしっかりと確認し、実施することが大切です。

 

画像出典：bbc.co.uk

 

看護師が最期におこなう看護が「エンゼルケア」

 

様々な手法や考え方が変化している「エンゼルケア」ですが、亡くなられた患者さんに最期に看護師が行う看護が「エンゼルケア」であることには変わりはありません。

突然の死、または長い闘病生活の末の死、様々な死の形はありますが、患者さんと関わった時間を振り返り、ご冥福をお祈りすることができるのは、看護師だけです。

感染予防対策のために注射痕や創部の処置は必要ではありますが、患者さんを病院から送り出すために、患者さんの状態を整えることも大切な事です。

葬祭業者による「エンゼルケア」を希望され、湯灌をするから清拭は必要ないという場合であっても、汚染している場所があるのであれば清拭をしたり、綺麗な着物に着替えるなどは病院側で必ずする事です。

きちんと患者さんの状態を整え、お見送りできるように最大限の「エンゼルケア」をおこないましょう。

家族の意向を確認しながら、可能な限り家族と一緒に「エンゼルケア」をおこなうようにしましょう。

 

画像出典：whereismydoctor.com

 

エンゼルケアの目的〜まとめ〜

 

臨床の現場において、患者さんの死と向き合うということは避けて通ることはできません。

人の死はいくら看護師とはいえ、精神的なショックは大きなものです。

気持ちを切り替え、私達は看護師として働かなければいけません

だからといって患者さんの死が業務の一貫になってしまうことがあってはいけません。

死と向き合うたびに、命について考えること、自分自身の看護について考えることも大切なことです。

患者さんの状態を整え、感染予防対策をおこなうということが「エンゼルケア」の目的ではありますが、我々看護師にとっても自分自身の看護や命について考えさせられる機会であるとともに、患者さんの一番近くで、ご冥福をお祈りできる、最後の「看護」なのです。

命は尊いものです。

看護師はそんな命の尊さを決して忘れてはいけない仕事なのです。

自分自身のエンゼルケアを今一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

 

 

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