平成28年度(2016年)の診療報酬改定では、在宅領域(在宅医療・訪問看護・(ホスピス)緩和ケア・看取り)に関わる制度改定が多数行われました。
これは、在宅領域が医療・看護・介護業界に関わる”すべて”の方々に大きな影響があることを意味します。
しかし、webサイトでは、政府資料のペーストがされているのみで、情報が整理されているとは言い難いのが実情。
そこで、ビーナースが他サイトに先駆け、「在宅」にかかわる診療報酬改定項目を順次見やすい形に整理していきます。
今回は、中でも「訪問看護」に関わる改定項目(「同一日 2 か所目の訪問看護ステーションによる緊急訪問の評価」)を、用語解説を含めてご説明します!
※公式資料はこちら(本記事に関連するのはp145)
画像出典:brocktonvna.org
「同一日 2 か所目の訪問看護ステーションによる緊急訪問」とは?
本改定における、「同一日 2 か所目の訪問看護ステーションによる緊急訪問」について、改定に至る背景を確認しておきます。
「同一日 2 か所目の訪問看護ステーションによる緊急訪問」の改定に至る背景
たとえば、小児の訪問看護では複数の訪問看護ステーションが係る例が多いと言われていますが、こうした場合に診療報酬の算定対象になるのかという点は、ステーションにとって非常に大きな問題です。
(実際に、複数訪問看護を利用している3.2%の利用者のうち、小児の割合は少なくありません)
もちろん、小児に限ったことではなく、事業所が行う訪問看護のうち、複数事業所による訪問看護の割合は小さくありません。
(機能強化型訪問看護ステーションでは6割前後、その他の訪問看護ステーションでも5割弱が複数事業所によるもの:参照)
ただ、現行の診療報酬上では、同一日に2箇所目の訪問看護ステーションによる緊急訪問は算定できず、問題とされています。
これが、今回の改定の趣旨に繋がります。
画像出典:cares-center.co.jp
「同一日 2 か所目の訪問看護ステーションによる緊急訪問の評価」の概要
では、「同一日 2 か所目の訪問看護ステーションによる緊急訪問」の意味について確認したところで、改定項目の内容に触れていきましょう。
・本改定の趣旨
「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」
・本改定の基本的な考え方
「医療ニーズが高く複数の訪問看護ステーションからの訪問を受けている利用者に対して、同一日に2か所目の訪問看護ステーションから緊急訪問を実施した場合を評価する。」
・改定項目概要
1 人の利用者に対し複数の訪問看護ステーションが訪問看護を実施している場合であり、
かつ
同一日に2か所目の訪問看護ステーションが、利用者等からの求めに応じて、その主治医の指示に基づき緊急訪問を実施した場合には、
2か所目のステーションは緊急訪問看護加算を算定できる。
[考察]
今までは、医療保険による訪問看護では、訪問看護基本療養費は患者一人にあたり一日1回しか算定できないルールとなっていました。
そのため、緊急訪問で2回目の訪問看護を行った場合に、同日に他の訪問看護を利用すると、訪問看護基本療養費及び時間外加算も算定できない状況となっていました。
しかし、リハビリテーションサービスを中心とした訪問看護や、医療保険に対応していない訪問看護ステーションでは、医療必要度の高い状況になると単独では対応できない場合があり、2ヶ所目の別の訪問看護ステーションが対応する必要がありました。(引用元)