トータルペイン③精神的苦痛
精神的苦痛とは:病気による不安や孤独感などの、精神的な痛みのこと
精神的苦痛とは、病状に対する、不安や怒り、孤独感、恐れ等の精神的な痛みのことを指します。
病気と診断された患者さんは診断を行うごとにその結果を不安に感じたり、病気が治るかどうかの不安に駆られます。
時には行き場のない不安や悲しみに襲われることさえあるのです。
精神的な痛みが増大すると身体的苦痛に発展することがあります。
そうした事態を防ぐために患者さんの悩みを聞いたり、丁寧なサポートを心掛けましょう。
画像出典:日本看護協会
精神的苦痛への対応:専門的な治療が必要かどうかを把握し、適切なコミュニケーションをとる
精神的苦痛への対応は、患者さんが病気に対する心理的不安で苦しんでいる場合と、うつ病等の精神症状が発生し薬物療法を含め専門的な対応が必要になる場合とで異なります。
本当は専門的な治療が必要なほどに患者さんが精神的苦痛を受けているのにも関わらす、単純な病気の治療だけを続けるといったことは避けなければなりません。
精神的な変化を気づくことは確かに難しいです。
日頃から患者さんに睡眠が十分に取れているのか、食欲が低下してないか、また悩み事はあるかなどを聞いたりと、患者さんの変化に敏感になりましょう。
参考文献:苦痛緩和:日本看護協会
トータルペイン④:スピリチュアルペイン
スピリチュアルペインとは:病気になったことで生じた絶望感、不公平感などの痛みのこと
スピリチュアルペインとは病気や死に直面した時に感じたり、死後の不安などからくる痛みのことです。
今、自分が治る見込みのない末期癌と判断されたことを想像してみてください。
これからあるはずだった未来がなくなったことがわかった時、どれだけの絶望を感じるのかが少しだけでも理解できるかと思います。
看護師はそれらを理解した上で患者さんに対応していかなければなりません。
スピリチュアルペインへの対応:痛みの要因を理解し、それに合わせたコミュニケーションをとる
スピリチュアルペインの痛みの要因は以下の画像のようにの3つに分けることができます。
画像出典:OPTIM心のケア
看護師がスピリチュアルペインに対するケアを行う時は、まずその痛みの要因が何であるのかを把握することが重要になります。
それは痛みの要因によって適切なコミュニケーション方法が異なってくるからです。
しかし、スピリチュアルペインに対するケアのやり方に明確な答えはありません。
患者さんと正面から向き合い自分ができることを手探りの状態で行っていくしかないのです。
参考記事:OPTIM心のケア
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