『ホスピス緩和ケアと癌(ガン)の基礎知識』 第4回:ホスピスケアにおける癌

 

前回「癌の三大治療法」についてご説明した際に、「第四の治療法」があるという話が出てきました。

それが、今回以降でお話する、「ホスピス緩和ケア」です。

まず本記事では、「ホスピスとはどのような場所か」についてご説明したのち、「ホスピスがどのような患者さんを受け入れるのか」というところについてご説明いたします。

 

画像出典:odihamcottagehospital.org.uk

 

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『ホスピス緩和ケアと癌(ガン)の基礎』シリーズの目次

 

第1回 日本人にとっての癌

第2回 癌の原因と特徴

第3回 癌の三大治療法

第4回 ホスピスケアにおける癌

第5回 ホスピスの癌ケア1

第6回 ホスピスの癌ケア2

 

ホスピスとはどういう場所?

 

ホスピスと緩和ケア

 

ホスピス」という概念は、決して古いものではありません。

おおよそホスピスを説明する際には、「日本ホスピス緩和ケア協会」の資料が引用されることが多いので、ビーナースでもそちらを引用しておきます。

 

これまでの医療は、治癒させることに専念するあまり、治癒できない場合の対応がほとんど考えられていませんでした。治癒できなければ延命策を講ずるという図式が連綿と続けられていました。『検査・診断・治療・延命』という4つの働きが近代病院の目的と考えられてきたからです。
しかし、たとえば、病状の進行した癌患者さんの何割かが直面する激しい痛みや息苦しさ、変化する病状への不安に対しては、この4つの流れのなかで対応するには限界があります。
このような状況下におかれた患者さんの痛みと不安を、何とかやわらげてあげたい・・・。それがホスピスを誕生させたときの願いでした。
この考え方を本格的に実践してみせてくれたのが1967年、シシリー・ソンダース医師が率いたイギリスのセント・クリストファー・ホスピスです。(「ホスピスってなぁに?」より引用)

 

このように、1967年よりイギリスではじまったのがホスピスです。

なお、日本で最初のホスピス緩和ケアを提供する病床は、大阪の淀川キリスト教病院(ホスピス長:柏木哲夫)に設けられました。

この病院での実質的なホスピス緩和ケアは、1973年から始められたそうです。

※ホスピスについてより深く知りたい方は、『在宅医療・ホスピスのイロハ』というシリーズ記事も是非ご覧ください♪

 

ホスピスで行われる緩和ケアとは?

 

緩和ケアの定義

 

では、ホスピスで行われる「緩和ケア」とは何でしょうか?

WHO(世界保健機関)は、次のように定義しています。

 

緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、 心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、 苦しみを予防し、和らげることで、クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチである

 

ここで大事なのが、「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」という言葉です。

この点、あるホスピスでは、QOLとは「“よりよく生きる”ための条件がいかに整っているか〈人格としての患者の人生の可能性(選択の幅)がどれほど広がっているか〉」とし、

QOLが高いとは、「その可能性がより広がっていることを意味する」としました。

つまり、「緩和ケア」とは、「よりよく生きる」ための可能性を広げるための方法と言えるのです。

 

 

画像出典:inscol.com

 

 

▶ 次ページへ:ホスピス緩和ケアが広がった背景とは??

 

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