本記事の目次
在宅中心静脈栄養法の適用について
中心静脈栄養法以外に栄養所要量の確保が難しい疾患の患者さんが対象となります。
また、消化器悪性腫瘍などの進行によって、著しい通過障害のため経口摂取が難しい患者さんに対し、中心静脈栄養法以外に栄養所要量の確保が難しい状態にも適応されます。
さらに、(こちらは繰り返しになりますが、)緊急事態が起きた場合に対応できる施設や医療従事者と常に連絡が取れること、家族・患者さん本人・介護者がHPNの必要性や実施内容を十分に理解されていることが条件になります。
アセスメントのポイント
以下、簡単にアセスメントのポイントを列挙していきます。
※筆者が実践している際のポイントになります。
○カテーテル挿入に関する異常・トラブルについて
- ①呼吸状態は正常か?呼吸困難はないか?
- ②頭部浮腫はないか?頭部、顔面、カテーテル挿入側上肢の浮腫はないか?
- ③滴下状態:時間どおりに指示量が注入されているか?輸液ポンプの作動はどうか?
- ④カテーテルの固定状況(体外式の場合):固定用絆創膏がはがれかかっていないか?
○感染徴候について
- ①刺入部・周囲の状態:
- 皮膚の発赤、腫脹、熱感の有無
- カテーテル挿入皮下トンネルに一致した発赤
- ②口腔内の状態
- 口腔粘膜湿潤しているか?乾燥しているか?唾液の分泌は良好か?
- 口臭はあるか?舌苔はないか?アフタはなか?頸部のリンパ節の
- 腫脹はないか?耳下腺部の腫脹、熱感、疼痛はないか?
- ③全身状態
- バイタルサインの異常はないか?
- ④視力
- 視力低下はないか?
○水分、電解質、糖の代謝異常について
- ①脱水徴候(高浸透圧利尿)
- 口渇はないか?皮膚乾燥はないか?倦怠感、嘔気はないか?皮膚乾燥、弾力性低下はないか、輸液注入量とほぼ同量の排尿があるか?
- ②体液量過剰徴候
- 浮腫や息切れはないか?
○栄養状態について
- ①皮下脂肪
- 上腕三頭筋部の皮下脂肪がつまめるほどあるか?
- 全身の皮膚掻痒感はないか?
- 皮膚乾燥、落屑はないか?
- ②毛髪
- 脱毛はないか?
- つやはあるか?
- ③筋肉
- 筋肉痛はないか?
○中心静脈栄養法に対する患者さんの受け入れについて
- ①身体活動範囲
- 必要な身体の動きができているか?
- ②心理、情緒的反応
- いらいらや不穏、不眠はないか?
○中心静脈栄養法に対する家族の受け入れについて
- ①家族の介護負担
- 疲労はないか?
- 疲労はあるが、休息や睡眠によって回復するか?
在宅中心静脈栄養法 まとめ
冒頭でも触れたとおり、携帯型の輸液ポンプが開発されてから、自宅での点滴管理が容易になりました。
病院のように輸液バッグをぶら下げることもなく、置いているだけでも滴下できるようになっていますし、輸液が無くなったりカテーテルが閉塞していても音声で知らせてくれたりもします。
また、年齢や疾患によっては24時間ずっと点滴せず、昼間だけ・夜間だけと間欠的に点滴をすることができ、患者さんのQOL向上が可能となっています。
ただ、管理に対しての家族の負担は大きく、手技についての指導は入院時から必要で退院後も繰り返し必要になります。
習得したと思っても、何度も確認することが必要になります。
慣れてくると手抜きが生じ、手技から感染を起こしてしまうこともあるからです。
指導の際には家族に労いの言葉をかけながら行うことも大切で、できていない手技があったとしても強い口調での指導は避ける方がよいでしょう。
看護師が出来ることは、たくさんあります。
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