ビーナースでは、2016年度(平成28年度)の診療報酬改定項目、
特に「在宅医療・看護領域」に関わる項目を順に解説・整理しております!
今回は、中でも「訪問看護」に係る診療報酬改定項目をまとめてご案内いたします!
※公式の政府資料は<こちら>
画像出典:riskandinsurance.com
本記事の目次
訪問看護に関する診療報酬改定:全部で「6項目」!
1. 在宅自己注射指導管理料の見直し
2. 在宅指導管理料等の適正な評価
3. 機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し
4. 病院・診療所からの訪問看護の評価
5. 複数の実施主体による訪問看護の組合せの整理
6. 同一日 2 か所目の訪問看護ステーションによる緊急訪問
これらの改定項目は、すべて
「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」
という趣旨で行われています。
訪問看護に関する診療報酬改定1:「在宅自己注射指導管理料の見直し」とは?
「在宅自己注射指導管理料」について
近年、患者のQOLの向上や医療費の適正化などを目的として在宅医療が推進されるようになってきた中で
「在宅療養(在宅医療)」が認められている指導管理料のうち、注射薬がかかわるものに対して付加される診療報酬のことです。
「在宅自己注射指導管理料」の法文的な定義としては、
「別に厚生労働大臣が定める注射薬の自己注射を行っている入院中の患者(いわゆる外来の患者)に対して算定するもの」
になります。
なお、在宅自己注射指導管理料を含む「在宅療養指導管理料」を算定する場合は、当該指導管理に要するアルコール等の消毒薬、衛生材料(脱脂綿、ガーゼ、絆創膏)、酸素、注射器、注射針、翼状針、カテーテル、膀胱洗浄用注射器、クレメン等は、指導管理料を算定する保険医療機関が提供することとなっています。
また、医療材料の費用は、特に規定する場合を除き所定点数に含まれ、別に算定できません。
「在宅自己注射指導管理料の見直し」の概要
1. 在宅自己注射指導管理料の指導内容を明確化した上で、頻度に応じた点数を設定するとともに、難病患者への指導管理を行った場合を重点的に評価する。
2. 2以上の保険医療機関において、同一の患者について異なる疾患の在宅自己注射指導管理を行っている場合に、それぞれ当該指導管理料を算定できることとする。
訪問看護に関する診療報酬改定2:「在宅指導管理料等の適正な評価」とは?
「在宅指導管理料」とは?
「在宅療養指導管理料」とは、、、
当該指導管理が必要かつ適切であると医師が判断した患者について、患者又は患者の看護に当たる者に対して、
当該医師が療養上必要な事項について適正な注意及び指導を行った上で、
当該患者の医学管理を十分に行い、かつ、各在宅療養の方法、注意点、緊急時の措置に関する指導等を行い、
併せて必要かつ十分な量の衛生材料又は保険医療材料を支給した場合
に算定するものです。(厚労省資料より引用)
つまり、簡単に言えば。。。
治療を受けた医療施設から退院した患者が在宅で療養するに当たり必要となる各種の指導を受ける場合に算定される費用
のことです。(引用元)
「在宅指導管理料等の適正な評価」の概要
1. 在宅酸素療法指導管理料について、診療に関する評価と材料費に関する評価を分けた上で、医師の判断に基づき患者が受診しない月を含め、1回の受診で最大3月分まで使用される機器の費用を評価した加算を算定できることとする。 *
2. 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料及び治療器加算について、ASV 療法130に対する評価を新たに追加するとともに、診療に関する評価と材料費に関する評価を分けたうえで、医師の判断に基づき患者が受診しない月も含め、1回の受診で最大3月分まで、使用される機器の費用を算定できることとする。 **
3. 在宅呼吸療法の機器加算のうち、現在2月に2回算定可能としているものについて、3月に3回算定可能とする。 ***
* 「在宅酸素療法指導管理料」とは、「在宅酸素療法を行っている入院中の患者以外の患者に対して、在宅酸素療法に関する指導管理を行った場合に算定する」もの。(引用元)
** 「在宅持続腸圧呼吸療法」とは、「睡眠時無呼吸症候群又は慢性心不全である患者について、 在宅において実施する呼吸療法」のことです。
また、「在宅持続腸圧呼吸療法指導管理料」とは、「在宅持続陽圧呼吸療法を行っている入院中の患者以外の患者に対して、在宅持続陽圧呼吸療法に関する指導管理を行った場合に算定する」ものです。(引用元:同上)
*** 「在宅呼吸療法」とは、「機器を使って呼吸の補助をおこない、過剰にたまった二酸化炭素を排出し、酸素の取り込みを促す」治療法のこと。(引用元)
訪問看護に関する診療報酬改定3:「機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し」とは?
「機能強化型訪問看護ステーション」とは?
「機能強化型訪問看護ステーション」には、2種類あります。
1.常勤看護師7人以上などより厳しい基準を満たす「機能強化型1」
(月の初日訪問では1万2400円の療養費を算定できる)
2.常勤看護師5人以上などの基準を満たす「機能強化型2」
(同9400円)
※なお、「通常型」は7400円の療養費
つまり、人員配置を手厚くすることが機能強化型の認定の必須条件となります。(引用元)
※本記事で扱う診療報酬改定は、こちらの「要件」を見直すものであるため、細かな要件は後述します
※下記画像が、「機能強化型訪問看護ステーション」をわかりやすい形で図示したものになります
「機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し」の概要
機能強化型訪問看護管理療養費の算定要件の年間看取り件数に、在宅がん医療総合診療料を算定していた利用者を含める。*
また、機能強化型訪問看護管理療養費の実績要件において、看取り件数だけでなく、超重症児等の小児を受け入れている実績を評価する。
* 「在宅がん医療総合診療料」についてはこちらを参照のこと。
<「機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し」の詳細はこちら>