たばこの煙の中には200種類以上の有害物質が含まれ、「発がん」との関係が問題視されています。
多く研究でその危険性が明らかになっていますが、一部では喫煙と発がんの因果関係はないとの主張もあり、困惑させられます。
そこで今回は、様々な角度から実際はどうなのか徹底的に検証していきます!
本記事の目次
喫煙は発がんと関係ない?
がんの原因は多種多様!
・日本たばこ産業(JT)の見解
JTは喫煙が発がんの直接的原因とは言い切れないとの見解を公表しています!
確かに、がんを引き起こす要因は遺伝、環境、食事、ストレスなど複数の影響が複雑に関係しているのが通常ですので、喫煙のみが発がんの原因とは限りません。
・喫煙により遺伝子の異常が生じるとは限らない。
また、「肺がん」に関しては特定の遺伝子の異常が大きな要因であり、その遺伝子異常は喫煙者、非喫煙者との比較で有意差はなかったとの報告もあります。
どうして禁煙が勧められるの?
喫煙と発がんとの関係は1950年代から指摘されていました。
その背景には喫煙率の増加に伴って肺がん罹患率も増加していたことがあります。
最近では発展途上国において喫煙を原因とするがんの発生が増えていることも、国際的に禁煙が勧められる要因となっています。
喫煙の危険性を示す研究
・国際的な評価
国際がん研究機関(IARC)による『喫煙とたばこ煙』に対する評価では、多くの癌腫において喫煙との因果関係があると判定しています。
また、米ハーバード大学Goodarz Danaei氏らが世界におけるがん死における特定の危険因子を調査した結果、喫煙、飲酒、野菜の摂取不足ががん死に対する寄与度が最も高いことが明らかになりました。
危険因子別にみると喫煙は全世界のがん死の21%の原因と推算されています。
画像出典:http://www.rea.or.jp/ire/yougo
・国内での評価
厚生労働省は多くの疫学研究の結果を踏まえ、がんの危険因子として最も重要なものを食物と喫煙と考察し、喫煙が発ガンに寄与する割合を30%と報告しています。
喫煙の影響は30~40年ほどのラグを経て生じるので、過去の喫煙が現在の肺がんや胃がんが増加に影響していると予想されます。
・吸う人だけじゃないタバコのリスク
喫煙には副流煙のリスクも報告され、受動喫煙により肺がんの危険性は2倍となるとの結果が出ています。
マウスでの研究では副流煙に晒されたラットでは、がん遺伝子を活性させることが明らかになりました。
・有用性の示唆はまだまだ足りない
多くの研究が喫煙の危険性を示唆している反面、喫煙の有用性を示す研究は少なく、現状ではデータ不足と判断するしかありません。
喫煙は発がんに影響する
これまでの研究結果により、喫煙はやはり発がんを誘発するリスクであると考えられます。
その影響は直接煙に触れる、口腔、咽頭、食道、肺だけでなく、全身に影響します。
また、受動喫煙においては妊婦の早産、胎児の発育障害、神経麻痺を引き起こしかねません。
まとめ
現在はいわば大きな実験の中にあると言えます。
がんとの因果は今後の研究の積み重ねで明らかとなるでしょう。
国は禁煙に積極的ですが、タバコは文化とする主張も汲みたいところ。
しかし、喫煙は呼吸器、循環器に害を及ぼすことはほぼ確実とされており、少なくとも他人に害を及ぼさないように分煙を徹底するべきです。
BeNurseではガンについてシリーズ記事を書かせて頂いているので、そちらの方もぜひご覧になってください!
『ホスピスと癌(ガン)の基礎知識』 第1回:日本人にとっての癌
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