平成28年度(2016年)の診療報酬改定では、
在宅領域(在宅医療・訪問看護・(ホスピス)緩和ケア・看取り)に関わる制度改定が多数行われました。
これは、在宅領域が医療・看護・介護業界に関わる”すべて”の方々に大きな影響があることを意味します。
しかし、webサイトでは、政府資料のペーストがされているのみで、情報が整理されているとは言い難いのが実情。
そこで、ビーナースが他サイトに先駆け、「在宅」にかかわる診療報酬改定項目を順次見やすい形に整理していきます。
今回は、中でも「看護師の業務に係る」に関わる改定項目(「看護職員の月平均夜勤時間数に係る要件等の見直しと評価」)を、用語解説を含めてご説明します!
※公式資料はこちら(本記事に関連するのはp54-56)
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画像出典:nursetogether.com
本記事の目次
「看護職員の月平均夜勤時間」について
まずは、「看護職員の月平均夜勤時間」の算出式について説明します。
厚生労働省資料によると、看護職員の月平均夜勤時間数の算出方法は以下の通りとなります。
平均夜勤時間の算出式に、「夜勤専従者及び夜勤16時間以下の看護職員は含まれない」ことが注意点です。
「看護職員の月平均夜勤時間」の現状
画像出典:rengo-soken.or.jp
上記図は1ヶ月の中での看護師の平均夜勤回数について行われたアンケートの結果です。
このアンケートの母集団には、専ら夜勤に専従する人は含まれておりません。
それにもかかわらず、三交代制では平均7.9回、二交代制では平均4.7回夜勤が行われています。
こういった状況の中で、連合調査の中で、ワーク・ライフ・バランスの現状に「不満」とする回答が、「満足」とする回答を倍以上も上回っており、看護師の満足度は決して高くない状況が続いています。
「看護職員の月平均夜勤時間数に係る要件等の見直しと評価」の概要
上記のような状況の中で、各団体が看護職員の夜勤回数、時間を減らすよう様々な方策を打ち出しています。
今回の「看護職員の月平均夜勤時間数に係る要件等の見直しと評価 」もその一環と言えるでしょう。
では、「看護職員の月平均夜勤時間数に係る要件等の見直しと評価 」の改定項目の内容に触れていきましょう。
本改定の趣旨
地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携
本改定の基本的な考え方
看護職員の夜勤体制について、夜勤従事者を確保する観点等から、
月平均夜勤時間数の計算方法の見直し及び基準に適合しなくなった際の評価方法等を見直す。
改定項目概要
1.月平均夜勤時間数の算出にあたり、計算に含まれる者の要件を見直す。
現行 |
改定案 |
[入院基本料の施設基準]
カ 月平均夜勤時間数の計算に含ま れる実人員数及び延べ夜勤時間数 には、専ら夜勤時間帯に従事する者及び月当たりの夜勤時間数が 16時 間以下の者は含まない。ただし、短時間正職員制度を導入している保 険医療機関の短時間正職員については、月当たりの夜勤時間数が12時 間以上のものを含むこと。 キ 月平均夜勤時間数の計算におけ る夜勤時間帯の従事者数に含まれ る看護要員が病棟勤務と外来勤務 等を兼務する場合又はパート勤務 者などの場合には、当該看護要員の 病棟勤務の時間を常勤職員の所定 労働時間により除して得た数を、夜 勤時間帯に従事した実人員数とし て算入すること。 |
[入院基本料の施設基準]
カ 月平均夜勤時間数の計算に含まれる実人員数及び延べ夜勤時間数については、次の点に留意すること。 ① 専ら夜勤時間帯に従事する者は、実人員数及び延べ夜勤時間数 に含まないこと。 ② 夜勤時間帯に看護要員が病棟 勤務と外来勤務等を兼務する場合は、当該看護要員が夜勤時間帯 に当該病棟で勤務した月当たり の延べ時間を、当該看護要員の月当たりの延べ夜勤時間(病棟と病 棟以外の勤務の時間を含む。)で除して得た数を、夜勤時間帯に従事した実人員数として算入する こと。 ③ 7対1入院基本料及び 10対1入院基本料の病棟の実人員数及 び延べ夜勤時間数には、月当たりの夜勤時間数が 16時間未満の者 は含まないこと。ただし、短時間 正職員制度を導入している保険 医療機関の短時間正職員については、月当たりの夜勤時間数が12 時間以上のものを含むこと。 ④ 7対1入院基本料及び 10対1入院基本料以外の病棟の実人員 数及び延べ夜勤時間数には、月当たりの夜勤時間数が8時間未満の者は含まないこと。
(削除) |
2.月平均夜勤時間超過減算の算定額を見直す。
現行 |
改定案 |
【一般病棟入院基本料】
月平均夜勤時間超過減算として、それぞれの所定点数から100分の20に相当する点数を減算する |
【一般病棟入院基本料】
月平均夜勤時間超過減算として、それぞれの所定点数から100分の15に相当する点数を減算する。 |
3.月平均夜勤時間数の基準のみを満たさなくなった場合に算定する夜勤時間特別入院基本料を新設する。
(新) 夜勤時間特別入院基本料
(1) 入院基本料の 100 分の 70 に相当する点数
(2) (1)の点数が特別入院基本料の点数を下回る場合は、特別入院基本料に 10 点を加えた点数
[算定可能病棟] 一般病棟入院基本料、療養病棟入院基本料2、結核病棟入院基本料、精神病棟入院基本料
[施設基準]
(1) 月平均夜勤時間が 72 時間以下であるという要件以外の施設基準は満た していること。
(2) 夜勤時間特別入院基本料を算定する場合は、医療勤務環境改善支援セン ターに相談し、相談状況に関する書類及び看護職員の採用活動状況等に関する書類を地方厚生(支)局長に提出すること。
「看護職員の月平均夜勤時間数に係る要件等の見直しと評価」〜まとめ〜
以上が、「看護師の業務」に関わる診療報酬改定項目(「看護職員の月平均夜勤時間数に係る要件等の見直しと評価」)の整理になります。
まだまだ改定から間もないため、独自の解釈は控えております。
今後、業務等で改定にかかわる疑問が出てきたときには、ビーナースでざっと把握していただければ幸いです。
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