平成28年度(2016年)の診療報酬改定では、
在宅領域(在宅医療・訪問看護・(ホスピス)緩和ケア・看取り)に関わる制度改定が多数行われました。
これは、在宅領域が医療・看護・介護業界に関わる”すべて”の方々に大きな影響があることを意味します。
しかし、webサイトでは、政府資料のペーストがされているのみで、情報が整理されているとは言い難いのが実情。
そこで、ビーナースが他サイトに先駆け、「在宅」にかかわる診療報酬改定項目を順次見やすい形に整理していきます。
今回は、中でも「看護師の業務」に関わる改定項目(「常勤配置の取扱いの明確化」)を、用語解説を含めてご説明します!
※公式資料はこちら(本記事に関連するのはp64-65)
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「常勤配置」について
ここでは「常勤配置」の概念と本改定に関連する「労働基準法」についてご説明します。
「常勤換算」とは
「常勤換算」とは、医療や福祉の事業所で用いられる職員や従業員の人数に関する計算方法を指します。
病院の収益は、「診療報酬」がすべてです。
また、病院の規模や加算方法などによって看護師の有資格者の規定人数が異なります。
そのため、この「常勤換算」は医療機関の経営にとって非常に重要なものなのです。
※医師や介護食でも「常勤換算」の概念は用いられます
「常勤換算」の算定例
算定に際して重要になるのが、「常勤看護師の勤務時間」です。
それはそのはず。常勤看護師の勤務時間が分からなければ、「換算」が出来ないですもんね。
看護師求人うさぎによれば、「一般的にその『常勤看護師の勤務時間』は就業規則で定められたものを基本とし、その時間数から『常勤換算』の計算を行う」とされています。
では、以下具体的な数字で換算してみましょう。
- ・常勤看護師(1名)…1日8時間勤務×週5日間=週40時間の労働=1.0名
- ・非常勤看護師(1名)…1日4時間勤務×週5日間=週20時間の労働=0.5名
- ・非常勤看護師(2名)…1日4時間勤務×週5日間=週20時間の労働×2名=1.0名
なお、常勤換算時の注意点としては、下記のようなことが挙げられます。
- ・「勤務時間」とは[基礎的な1日の勤務時間×1週間の勤務日数]であり、その看護師が残業(時間外労働)を行なった時間数は含まれていない
- ・1週間の勤務日数とは通常の勤務日数を指し、1カ月以上の長期休暇などの場合を除き有給休暇などを取得した場合でも差し引くことはない
「労働基準法」「育児・介護休業法」について
今回の診療報酬改定項目は、産前・産後休業等で休業を取得する勤務者の取扱いを明確化するものです。
この点、後述する通り、「産前」や「産後」といった用語の定義は労働基準法・育児・介護休業法に基づいています。
ですので、用語説明として労働基準法についても軽く触れておきます。
労働基準法(産前・産後休業)
6週間(多胎妊娠の場合には14週間)以内に出産する予定の女性が休業(産前休業)を請求した場合、使用者はこの労働者を働かせることはできません(女性から請求がない限り、この労働者を働かせることは可能です)。
また、妊娠中の女性が請求した場合には、負担を軽くするためにほかの軽易な業務に変更する必要がありますが、そのためにわざわざ新たに軽易な業務を作る必要はありません。
一方、産後8週間を経過しない女性は、請求の有無を問わず働かせることはできません(産後休業)。
ただし、産後6週間を過ぎた女性が請求した場合であって医師が働くことに支障がないと認めた業務につかせることは、問題ないとされています。
※jin-Jourを参考・引用
画像出典:rosei.jp
育児・介護休業法(育児・介護)
≪育児≫
労働者は、申し出ることにより、子が1歳に達するまでの間、育児休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者も対象となります)。
一定の場合、子が1歳6か月に達するまでの間、育児休業をすることができます。
≪介護≫
労働者は、申し出ることにより、要介護状態にある対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者も対象となります)。
期間は通算して(のべ)93日までです。
※厚生労働省より引用
画像出典:iryou.chunichi.co.jp
「常勤配置の取扱いの明確化」の概要
以上が、「常勤配置」ならびに「労働基準法」についての説明です。
それでは、今回の「常勤配置の取扱いの明確化」の改定項目の内容に触れていきましょう。
本改定の趣旨
地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携
本改定の基本的な考え方
診療報酬制度上の常勤配置の取扱いについて、
産前・産後休業、育児・介護休業、短時間勤務等に関する取扱いを明確化し、
柔軟な勤務形態に対応する。
改定項目概要
1.施設基準上求められる常勤の従事者が、労働基準法に定める産前・産後休業及び育児・介護休業法に定める休業を取得した場合に、当該休業を取得している期間については、当該施設基準上求められる資質を有する複数の非常勤従事者が常勤換算方法により施設基準を満たすことを原則認める。
2.育児休業後等の従事者が短時間勤務制度を利用し、正職員として勤務する場合、育児・介護休業法で定める期間は、週 30 時間以上の勤務で常勤扱いとする。
▶ 次ページへ:「常勤配置の取扱いの明確化 」の具体的内容とは??
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