亜急性期あるいは回復期という病院の形態についてご存知でしょうか?
現場では、「慢性期」と呼ばれたり、そこまで言葉自体にこだわることは無いようです。
しかし、ある概念というのは、存在意義・理由があるから成り立つもの。
今回は、亜急性期や回復期という言葉を通じて医療提供体制について考えたいと思います。
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急性期とは
まず、一般的に用いられている「急性期」についてご説明します。
医療用語でよく聞く「急性期」。実は、明確な定義はありません。
ロハスメディカルによれば、一応次のような定義が出来るとのこと。
患者の病態が不安定な状態から、治療によりある程度安定した状態に至るまで
また、「急性期病院」と言ったときにはどのような意味になるかと言えば、次のようなものです。(引用元)
急な病気や怪我、 持病の急性増悪などで重症で 緊急に治療が必要な状態である患者さんに対して、 入院や手術、検査などの高度で専門的な医療を行う病院
では、本稿の主題である「亜急性期」とはどのようなものなのでしょうか。
※参考記事1:「高度急性期とは?」
※参考記事2:「一般急性期とは?」
亜急性期とは?
亜急性期は、回復期と似たような意味になり、「急性期は脱しているが、状態が完全には安定していない」というとイメージしやすいかと思います。
そこでは、リハビリや退院支援を主な業務として行うことになります。
具体的には、平成23年の社会保障審議会において下記のような定義で用いられていますので、引用します。
1.急性期から医療必要度がそれなりに高い状態で退院してくる者の受け皿としての機能強化
2.リハビリの早期開始・強化や、クリティカルパスの推進と職員体制の強化、24時間対応可能な在宅医療の体制整備等
3.在宅療養患者の急性増悪時の対応等
⇒リハビリ、地域連携、退院時支援等の観点から、コメディカルを中心に3割程度の増員を図る
亜急性期と回復期の違い ~リハビリテーション~
では、亜急性期と回復期の違いはどのようなものが挙げられるでしょうか?
字義通り言えば、急性期、つまり「患者の病態が不安定な状態」になる可能性が残っているのが亜急性期、それを脱していれば回復期ということが出来ます。
より具体的には、、、やや古い調査になりますが、2011年11月に中医協で両者の違いが問われたことがありました。
そこで指摘された違いは以下の通りです。
- ・亜急性期病床は自院からの受入が ほとんどに対し、回復期病棟は他院 からの受入が多い
- ・亜急性期病床は筋骨格系疾患が多 く、回復期病棟は脳血管疾患が多い
- ・亜急性期病床よりも回復期病棟の方 が合併症が多い ・亜急性期病床よりも回復期病棟の方がリハビリテーション提供量が多い
- ・亜急性期病床よりも回復期病棟の方 が在院日数が長く、退院支援に従事 する者も多いが、在宅復帰率に差は ない
特に、亜急性期と回復期のリハビリテーション病棟の相違点に関しては、下図の通りになります。
画像出典:pt-ot-st.net
亜急性期という概念が持つ意義
詳しくは「「訪問リハビリテーション」とは? 目的、必要性、定義、そして関連制度について概説します」にて論じましたが、
結論から言えば、亜急性期(回復期)は、「一つの分野のみに捉われずに総合的な知見を有する重要性」を認識・意識するための段階として非常に重要です。
下図でお示しするように、今後は病床機能の再編により、「亜急性期」という言葉自体は一層聞き馴染みの無いものとなっていくでしょう。
しかしそれは、急性期のなかにも「退院支援」や「リハビリ」が無関係ではないことを明確化する動きとも考えられます。
患者さんを短期的に観察することはもちろん、長期的視点でもって治療の選択をしていくことが非常に重要になるということなのです。
画像出典:medwatch.jp
亜急性期とは まとめ
「亜急性期」という言葉を耳慣れないように感じる方は多いかと思います。
しかし、看護師自身が、病院の全体像、そして自分の病院が全体の中のどこに位置しているのかについて把握しておくことは非常に重要なことかと思います。
上述した通り、今後は病床機能分化によって亜急性期の概念は希少になっていきますが、裏を返せば急性期に退院支援やリハビリの役割も少なからず必要になるということです。
※参考記事:「一般急性期とは?」
あらゆる知識を「自分には関係ない!」としていられる時代は終わりを迎えつつあります。
「もしかしたら関係するかもしれない/勉強になるかもしれない」との意識を持ち、積極的に異分野の知識を蓄えることは、今後の看護師人生を大きく左右するのではないでしょうか?
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