徐々に私たちの中に認識が生まれつつある尊厳死ではありますが、尊厳死の持つ定義を誤って受け止めていることもあるかもしれません。
今回は日本における尊厳死の認識と賛否両論となる意見などをまとめて比較していきたいと思います。
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本記事の目次
尊厳死の認識
尊厳死の定義
尊厳死とは過剰な延命措置をせず、人間の尊厳を保ちながら命を終えることを言います。
※尊厳死についてより詳しく知りたい方はこちら!→尊厳死とは ~あなたは延命措置と尊厳死、どちらを選びますか?~
尊厳死と間違えられやすい安楽死
安楽死は、耐えがたい苦痛から解放されるために、医師によって死に至らしめることをいうものです。
尊厳死とは意味が異なります。
しかし日本では自らの死を決める法律が確立していません。
※もっと詳しく尊厳死と安楽死の違いについて知りたい方はこちら!→尊厳死と安楽死の共通点と違いは? ~「安らかな死」について改めて考えてみる~
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日本における尊厳死の認識の誤り
どうやら日本では尊厳死と安楽死の明確な区別はされていないように感じます。
以前、米国で脳腫瘍の女性が医師から致死薬を受け取り、亡くなったというニュースがありました。
その女性は自身の病気や死亡日を動画配信していたこともあり、大きな話題を呼んだというものです。
しかし日本の新聞社のいくつかでは、「尊厳死宣言」「尊厳死予告」という記事となっていたようです。
前述の通り、この女性は致死薬を服薬していますから安楽死とみてとれるでしょう。
しかし、新聞の記事上で安楽死と謳っていることから、まだまだ日本では自ら選択する死の在り方が浸透しきっていないのが現状のようです。
※参考記事→米29歳女性の死で注目された「安楽死」と「尊厳死」の大きな違い
尊厳死に対する賛成派・反対派の意見
尊厳死賛成派の意見:自分の最期は自分で決めたい
賛成意見とその理由であれば、「自分の最期は自分で決め、人間としての尊厳を保ちたい」という自身の立場からの意見があげられています。
自分で決める死への決断には、いろいろな思いがあるでしょう。
寿命を受け入れるという考えもあるでしょうし、回復の見込みもなく、不必要な延命治療を続けて家族に迷惑をかけたくない、といった思いもあるかもしれません。
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尊厳死反対派の意見:命の軽視、死よりも生を考えるべきだ
それとは逆に、反対意見とその理由ですが「終末期や障害者の定義があいまいだ」「命の軽視」「尊厳死の在り方以前に尊厳ある生をいかに保証するべきではないか」などの意見が見られます。
反対派の意見では、やはり生がある以上、その生に先に尊厳をもたらすべきという理由も多いように感じました。
※参考記事→尊厳死、法制化の動き 延命中止でも医師免責 「命切り捨て」と危惧も
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