認知症の鑑別は通常、現病歴や既往歴、神経学的診察を行い、各種検査が導入されてきます。
中でも問診は重要であり、本人をよく知る家族や身近な人から情報を得ることは、非常に意味のあるものです。
今回は代表的な認知症検査である神経心理検査、画像検査、検体検査についてご説明していきます!
画像出典:dialyza.cz
1.神経心理検査とは?
認知機能に関する評価尺度の検査にはMMSE(mini-mental state examination)と改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)があります。
いずれも臨床においてよく使用される検査です。
①MMSE(mini-mental state examination)
認知症の中核症状である認知機能障害の評価を行う場合、質問式による検査と観察式による評価尺度があります。
MMSEは質問式による検査で、直接本人と面接ができるため、家族からの情報が少ない場合に有効な検査法となります。
判定基準は30点満点中、23~24点が「認知症疑い」の境目となっています。
しかし、本人の生育歴や教育を受けた期間にも大きく影響されることもあるため、得点のみで認知症の有無を判断することはできません。
得られた得点とは別に、検査中の動作やしぐさなども評価の中に入ってきます。
設問 | 質問内容 | 回答 | 得点(30点満点) |
1(5点) | 今年は何年ですか? 今の季節は何ですか? 今日は何曜日ですか? 今日は何月何日ですか? |
年
曜日 |
0/1 0/1 0/1 0/1 0/1 |
2(5点) | この病院の名前は何ですか? ここは何県ですか? ここは何市ですか? ここは何階ですか? ここは何地方ですか? |
病院 県 市 階 地方 |
0/1 0/1 0/1 0/1 0/1 |
3(3点) | 物品名3個(桜、猫、電車) ※ 1秒間に1個ずつ言う。その後、被験者に繰り返させる。 正答1個につき1点を与える。3個全て言うまで繰り返す(6回まで) |
0~3 | |
4(5点) | 100から順に7を引く(5回まで)。 | 0~5 | |
5(3点) | 設問3で提示した物品名を再度復唱させる。 | 0~3 | |
6(2点) | (時計を見せながら)これは何ですか? (鉛筆を見せながら)これは何ですか? |
0/1 0/1 |
|
7(1点) | 次の文章を繰り返す 「みんなで、力を合わせて綱を引きます」 |
0/1 | |
8(3点) | (3段階の命令) 「右手にこの紙を持ってください」 「それを半分に折りたたんで下さい」 「それを私に渡してください」 |
0/1 0/1 0/1 |
|
9(1点) | (次の文章を読んで、その指示に従って下さい) 「右手をあげなさい」 |
0/1 | |
10(1点) | (何か文章を書いて下さい) | 0/1 | |
11(1点) | (次の図形を書いて下さい) |
0/1 |
画像出典:介護百科ドットコム
②改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
改訂長谷川式簡易知能評価スケールもMMSE同様に質問形式の内容となっています。
全部で9項目の質問内容から構成されていますが、質問は比較的に頭を使う内容です。
得点とうつの状態の相関関係は以下のようになっています。
判定基準(最大の合計得点は30点)
20点以下:認知症疑い(21点以上:非認知症)
11~19点:中度の認知症
10点以下:高度の認知症
あくまでも簡易的な検査で、MMSEと同様に得点だけをみていくものではありません。
余談ですが、私もこちらの検査を何度か行ったことがありますが、疲労感が極限まで達していると、認知症疑いの得点になってしまいますね(笑)。
なお、レビー小体型認知症の方にこちらの検査をすると、高い得点が出やすい傾向があるといわれています。
下記URLから実際に改訂長谷川式簡易知能評価スケールが行えるので興味がある方はぜひ試してみてくださいね♪
参考文献:認知症ねっと
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