≪著者プロフィール≫ ラプレツィオーサ伸子
日本の大学病院で看護師として勤務後渡米、現在アメリカ人の夫、3人の子供と犬の世話に奮闘しながら、在宅ホスピスナースをしています。
少しでも日本のホームケアの発展に貢献したく、ここアメリカ東海岸から、在宅ホスピスの生の情報をお届けしたいと思います。
何はともあれ、症状緩和
ホスピスや緩和ケアと言うと、日本では癌の疼痛コントロールがとかく取り上げられますが、症状緩和は疼痛に限られたものではありません。
アメリカでは余命6ヶ月以内と診断されれば、あらゆる疾患の人がホスピスケアを受けられます。
疾患によってその症状も様々であり、ホスピスナースに求められるのはまず第一に、身体的症状を緩和することなのです。
身体的苦痛が精神面にあたえる影響は想像以上に多大で、時にはそれがスピリチュアルな面にも及ぶ事さえあります。
誰だって、どこかが痛かったり、吐き気がしたり、呼吸が苦しかったり、身体がだるかったりすれば自然と不機嫌に悲観的になるし、やる気だってなくなります。
それが長い時間続けば続くほど、不安になるし、絶望的な気分にもなるのは当たり前のこと。
患者さんの近くにいる家族にしても、何とかしてあげたいけれど何も出来ずに無力感を感じて落ち込んだり、何かをしようとしても拒否されてお互い気まずくなるなど、周りの人との関係にまで影響を及ぼしかねません。
そんな患者さんやその家族がホスピスナースに期待するのは「とにかく身体を楽にして欲しい」ということです。
私達はそれに答えられるよう、常に正確なアセスメント技術と、それに基づいた症状緩和の知識を磨いておく必要があります。
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